教育福島0095号(1984年(S59)10月)-052page

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第32回東北六県商業教育研究大会 <報告>

 

情報化時代における商業教育実践研究の成果を発表

 

昭和五十九年度東北六県商業教育研究大会が去る九月五日(水)、六日(木)の二日間、山形県米沢市で開催された。この大会は昭和二十八年度に福島で第一回が開催されて以来、今回で第三十二回を数えるにいたっている。

この研究大会は、東北六県商業教育研究会の主催により、参加各県における商業教育の改善・充実についての日頃の実践研究の成果を持ちより、商業教育の一層の向上をねらいとして、毎年各県持ち回りで開催されている。

今年は、二三〇名の会員の参加の下に、情報化社会やサービス経済化の進展に如何に対応するか等について、熱心な研究・討議が行われた。

一、開会式

会長挨拶に続き、山形県教育委員会教育次長、大会委員長、全国商業高等学校長協会理事長の挨拶があった。

二、全体会

前会長として六年間つとめられた、前仙台商業高校長郡山進先生が五十八年度末にご退職になったため、新会長に現仙台商業高校長吉田秀三先生を選出した。五十八年度会務・決算報告、五十九年度行事計画・予算を承認の後、研究協議を行った。

研究協議の内容として、現場実習のあり方について岩手県を中心とした六校から実状報告があり、今後更に、積極的に現場実習を推進する必要があることが確認された。

講師として、文部省教科調査官澤田利夫先生から、国の産業教育審議会の審議内容および学校基本調査から見た商業教育の今後の在り方について話があった。

三、分科会

分科会は、教科群を単位として、六分科会が設けられ、それぞれの分科会ごとに、研究発表、研究協議が行われた。

 

本県からは、次の二件の研究発表が行われた。

(1) 喜多方商業高校虹沢理一教諭

「計算事務」の効果的指導法として、自然学級内においで、習熟度に応じた個別指導を実施して顕著な効果を挙げた。また、「計算実務」の指導に際しては、生徒の理解を深めるために、さまざまな指導法があり、これらの指導法を一時間の授業の中に適切に位置づけることにより、大きな指導効果を得た。

(2) 本宮高校 大和田 久男教諭

「商業経済1)」の指導は、中学校における関連教科である「社会(公民)」の学習との関連を図って行う必要がある。調査の結果、「公民」の学習分野と「商業経済1)」の学習分野には、かなりの部分において関連した領域があり、中学時代における「公民」の学習理解が十分に行われていれば、高校での「商業経済1)」の学習を深めるのに極めて効果的であることが判明した。

しかし、入学した生徒の実態を見ると、「公民」の内容について、必ずしも十分な理解があるとは言えない。このため、「公民」の学習内容を復習した後に、「商業経済1)」の関連した単元の学習を行うようにした。この試みの後に、確認のためのテストを行ったところ、復習を取り入れないクラスより、取り入れたクラスの方が「商業経済1」について深い理解を示すことがわかった。

本県の二つの発表は、それぞれの学校における実践を基にしたものであり、また、今後の学習指導の改善を目指す好個の例であるとして、参加各県から高い評価を受けた。

 

▲盛会だった東北商業研究大会

▲盛会だった東北商業研究大会

 

 

 


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