教育福島0095号(1984年(S59)10月)-055page

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の伝統を守ろうとみんな一生懸命です。雪が消える五月下旬にプール開きが行われ、放課後は毎日全員がプールサイドに集まり練習をします。寒さにふるえながら、自己記録への挑戦が始まるのです。この時期は、部活動の練習と重なり、とても疲れる日が続きます。

冬になると雪の中にとじ込められてしまいますが、スキーに打ち込み、さらに体育館では体力づくりが行われます。このように一年中、私たちの活動は休みなくつづきますが、運動と共に学業にもがんばっています。勉強と運動を両立させることは大変なことですが、中学時代に身につけた忍耐力と根性が、いっか私たちの将来に役立つ時が来ると信じてがんばっています。

学校行事の一つに、野鳥愛護林整備があります。学校の近くの三ヵ所の観測所の給水台、給餌台、巣箱の整備をします。さらに、双眼鏡で小鳥を観察したり、ポスターコンクールも同時に行われます。学年関係なく縦割りの班を編成し、みんなで協力し合い楽しい一日を過ごします。

その他の行事でも、ほとんどが縦割りの班です。春、秋の野外活動、フキ採取、夏休みのキャンプなど、三年生を中心に活動します。先輩、後輩というよりも兄弟のような感じです。このような温いふれ合いの中で、中学時代を過ごすことができるわたしたちは、たいへん幸せだと思っています。

 

ぼくの学校わたしの学校

 

福島県立小名浜水産高等学校

3年 前沢喜代志

 

校長 富永 三郎  生徒数447名

 

歌にも歌われている「質朴剛毅の校風」の中で多くの海の男たちを育ててきた。

 

県内唯一の水産校である本校は、昭和九年、福島県水産講習所としてこの小名浜の地に生まれた。以来、五十余年ものあいだ、校歌にも歌われている「質朴剛毅の校風」の中で多くの海の男たちを育ててきた。

南北五十数キロに及ぶいわき七浜は変化に富んだ海岸線を見せているが、砂浜が続く永崎海岸の南端に白亜の校舎がそびえている。その環境は県内のどの高校と比べても最もすばらしいものと自負している。どの教室からも見える太平洋は、海へのあこがれをかきたて、絶えず私たちを励ましてくれる。

本校は、漁業、水産製造、無線通信、機関の四つの科からなり、四百十八名の水産健児がそれぞれの専門職の基礎を学んでいる。さらに専門的な技術や資格を取得したい生徒のために、水産製造科を除く三つの科に専攻科があり、現在二十九名の先輩たちがともに学んでいる。

他の学校にはないユニークな教科や活動として、まず一年生の「海洋実習」がある。これは、「水産一般」と同じく、全科に共通する教科で、入学直後から、カッター、伝馬船、モーターボートの操船を通じて、海に親しみ、海に学ぼうとする態度を育ててくれる。他の科の実習を経験するのもこの教科である。また、漁業、機関科の乗船実習は三ヵ月間の遠洋航海で総合的な実習が行なわれる。また、今年から通信科も三年の夏休みに約一週間の乗船実習をするようになった。本校のシンボルともいうべき練習船福島丸は、来年三月の完成を目指して、四代目を建造中である。

生徒の活動としては、伝統のあるラグビー、柔道、相撲、重量挙げなどの各部が活躍し、珍らしい海洋部、結索クラブなどの活動も盛んである。生徒会行事であるマラソン大会も本校ならではの砂浜と防波堤を走るコースで毎年行なわれている。また、クラス対抗の水泳大会、球技大会、二年に一度の水高祭などには、水産健児のエネルギーが爆発する。

男子校としての五十年の伝統に終止符をうち、昨年から入学した女子生徒が新しい伝統と校風をつけ加えてくれるだろう。

 

「福島丸」で遠洋航海実習に出発

「福島丸」で遠洋航海実習に出発

 

 

 


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