教育福島0096号(1984年(S59)11月)-006page

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提言

 

心の豊かさとはなにか

 

福島県合唱連盟理事長

 

福島県合唱連盟理事長

石河 清

 

貧しさの中から豊かさを求めて、戦後私の青春はさまよい歩き、なにによって生きるかを尋ねあぐんでいたといっても過言ではなかった。商人の家に生れ、文学を志し、体育教師のかたわら映画・演劇にのめりこみ、のち、音楽へど傾き音楽大学に進み、卒業するや直ちに福島高校に勤務した。十年ののち、再び大学院に学び大学教師になり、現在、県合唱連盟理事長として合唱運動に関っている。

 

今日、物質文化万能の時代の中にあって、今こそ、心の豊かさを求められる時代はない。臨教審も発足し、二十世紀もあと十数年を残すのみ、心の豊かさを考えることは大人たちの課題であり人間として当然のことといってよい。人の心の豊かさとはなにか……。今、先端技術の発達、バイオテクノロジーの進展、医療技術の進歩、そして高齢化社会の実現、情報の氾濫、宇宙への旅立ちと科学の進歩と変化が続く。続けば続く程、人間が創ったこの物質文明と科学の世界へ人間の心が追いつけないのはどうしてであろうか。社会構造、価値感の多様化の中のひずみと格差、競走社会の生みだす社会悪、犯罪、人間の生命の尊厳さに対する軽薄さ、それらの流れに逆らう心の強さにもつと人間性活の根源をみつめるときではないかと思う。

人は何によって生きるか、寄らば大樹の陰と、大会社の中間管理職養成のための一流大学なのか、人間の

 

 

 


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