教育福島0096号(1984年(S59)11月)-010page
平均を上回っていることは、早期治療のやや遅れが一般的に考えられるのではないだろうか。
全国平均との比較は、前述のとおりであるが各県との比較ではどうか見てみよう。表2は、昭和五十八年度における東北・北海道の教職員医療費の受診者一件当たりの金額と受診率である。福島県の教職員は、全国平均をやや上回るが他県に比して決して高い数値ではなく全国平均に近い数値であることがわかる。
受診率と一件当たりの金額は、低いことに越したことはないが受診率が低く一件当たりの金額が高いということはその差が大きければ大きい程、診療内容は重病者が多いと認められ不健康な状態といわざるを得ないと考える。早期治療の遅れの度合が強く重病者の医療行為が推察できるのである。従って予防医療体制が整えば整う程、逆に受診率は高く一件当たりの金額は、低くなると考えられ、それが最も理想的な医療費の状態であり健康な状態といえる。
福島県の教職員の場合は、全国平均に近い医療費の内容であるから医療費の状況から見た場合の健康状態は普通と判断される。
ウ 教職員の死亡状況
次に教職員の死亡状況からみた健康状態を考えてみたい。
昭和五十四年度から五十八年度までの過去五年間における年齢別、男女別、疾病別の教職員死亡者の数は表3のとおりである。この表と図3からもわかるとおり成人病と呼ばれる悪生新生物、心疾患、脳血管疾患の死亡者数は全体の七十三パーセントを占めいかに成人病による死亡者数が多いかがわかる。特に悪性新生物による死亡者は、心疾患、脳血管疾患に比して増加傾向に有り昭和五十八年度の単年度でみた場合には、死亡者の六十パーセントは悪性新生物が原因であり、特に女性の死亡者は圧倒的に悪生新生物によるものである。
図4は、年齢別にみた過去五年間の教職員死亡者数を図に示したものであるが、この図からも分かるとおり四十代、五十代の働き盛りの男子教職員の死亡者が多い。その死因は、表3からもわかるとおり多くは悪性新生物によるものであり、悪性新生物に対する予防体制のより一層の充実が叫ばれているのもうなずけるところである。
また、総死等による事故死は、三十代から四十代に集中しており、このことは、精神面での予防対策の確立をいかにすべきかを示唆しているものである。
エ 教職員の人間ドック検診結果からみた健康状態
教職員の人間ドック受診者は、平常健康な状態と認識している教職員が受診している。
これ等健康であると平常認識している教職員の検診結果は、どのような状況にあるのか、ここに昭和五十八度度
表2 昭和58年度県別本人医療費 (1件当たり金額・受診率)
図3 過去5年間の疾病別死亡者の割合
図4 過去5年間年齢別死亡者数