教育福島0096号(1984年(S59)11月)-015page

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二、健康保険法等の一部改正について

 

(一) 法改正の趣旨

 

今回の健康保険法等の一部改正は、我が国の医療費は人口の急速な高令化、疾病構造の変化、医学医術の高度化等により増加が見込まれ、早晩国民の負担能力の限界を超えることが危惧され、各医療保険制度の給付と負担の公平化等を図ることが必要となってきた。これらの現況をふまえ、中・長期の展望に立って医療費の適正化、保険給付の見直し、負担の公平化を三本の柱として、本人に係る一部負担金制度の導入、高額療養費制度の改善、退職者医療制度の創設、国民健康保険における国庫補助制度の改正等、医療保険制度全般にわたって改正されたものである。

これらの改正の背景となった我国の国民医療等の現況について、厚生省の昭和五十八年度厚生白書(抜粋)によると、その概要は次のようなものである。

 

(二) 医療費の現況

 

国民医療費の現況は、昭和五十六年度では国民所得の六・三%に当る十二兆八千七百九億円に達し(表7、図8)経済の安定成長に移行した後も医療費はへ経済成長を大巾に上回るテンポで増大を続けているが、その要因として、次の点があげられる。

ア 人口構成の高齢化

 

(ア)高齢者は、複数の疾病にり思していることが多いこと。

(イ)他の年齢層と比較して受診率が高いこと。

(ウ)七十才以上の老人一人当り医療費は、老人以外の一人当たりの医療費の約四・九五倍となっていること。(厚生省保険局調べ、昭和五十八年度実績)

イ 疾病構造の変化

(ア)「ガン」や循環器疾患など成人病が増加していること。

(イ)これらの疾患は治療に長時間かかること。

(ウ)高度な医療技術を要すること。

ウ 医学医術の進歩

(ア)電子工学、素材工業、分子生物学など科学技術の進歩が医療分野に広範囲に応用され極めて高価であること。

(イ)制ガン剤等の新薬開発は、飛躍的な向上がみられるが、これらが広範囲に普及すると医療費に与える影響も大きいこと。

エ 患者負担の減少

医療費の財源内訳をみると、患者負担は昭和三十五年度には三十%であったものが、昭和五十六年度には十・八%となっている。これは、国民皆保険体制の確立、給割合の引上げ、高額療養費支給

 

表7 国民医療費の動向

表7 国民医療費の動向

 

図8 国民医療費と国民所得等との対比

(昭和45年度=100)

昭和・・年度

昭和・・年度

(注)賃金は、常用労働者1人当たり現金給与月額である。(30人以上事業所)

 

 

 


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