教育福島0096号(1984年(S59)11月)-017page

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あるが、欧米諸国では十〜十一日程度であり、国際的にみても我が国の在院日数は際立って長くなつている。

 

(五) 医療費の適正化

 

人口の高令化、疾病構造の変化、たゆまざる医学医術の進歩に伴い、今後とも増加の基調にあるが、安定成長の定着した経済環境の下で、これまでのような医療費の増加が続けば、国民の負担能力との間の距離が拡大していくおそれがある。このような状況に的確に対応し、二十一世紀の本格的な高令化社会に備え、医療保険の揺るぎない基盤づくりを進め、すべての国民が適正な負担で公平な質の高い医療を受けられるよう医療保険の改革が求められる。

 

(六) 健康保険法等の一部改正の概要

 

法改正の主要事項

ア 医療費の適正化

保険医療機関等の不正、不当を排除するため、診療内容が適切を欠くおそれがあるとして、重ねて厚生大臣等の指導を受けている保険医療機関等については、その再指定を行わないことができることとし、また、不正請求による処分を逃がれるために保険医の登録を取り下げる等の場合については、

再登録等を行わないことができることとした。

イ 医療保険における給付の見直し

従来へ被用者保険本人の給付率

は十割、その家族は入院八割、外来七割であり、また、国民健康保険の給付率は、世帯主、家族とも

入院、外来七割となっていた。このような給付率の格差を漸次縮少し、全国民を通じて公平化を図っていくとともに、かかった医療費の額が分かり易くなること等により医療費の効率化が促進されると

いう見地から、被用者保険本人の給付率を八割(昭和六十一年四月以降国会の承認を得て厚生大臣が告示する日までは九割)に改め、これに伴い、現行の初診時一部負担金及び入院時一部負担金は廃止された。また、受診時の自己負担額が過大とならないよう、家計への影響を考慮して高額療養費を世帯単位に改善された。

次に療養費の支給に関し新しい医療技術の出現や患者の欲求の多様化等に対応し、高度医療や、特別のサービス等について保険給付との調整を図るため、療養制度が改正された。このことにより、高度の医療を提供すると認められる特定承認保険医療機関において療養を受けた場合や保険医療機関において特別の病室の提供等厚生大臣の定める療養を受けた場合に

特定療養費が支給される。

ウ 医療保険制度の合理化等による負担の公平化

事業所の退職者は、退職後、国民健康保険の加入者となるため、給付水準が低下し、また、その医療費の負担は、主として国庫と自営業者や農業等他の国民健康保険加入者に依存することとなるという不合理と不公平が生じており、これを是正するため、退職者医療制度が創設された。

すなわち、これらの退職者及びその家族を対象に、市町村が国民健康保険事業の一部として事業を行い、給付率は、退職者本人は入院、外来八割、家族は入院八割、外来七割とし、また、高額療養費支給制度を適用することとし、この医療給付に要する費用の負担は、

退職者及びその家族の支払う国民健康保険の保険料と現役の被用者

及び事業主が負担する拠出金により賄うことになった。

次に退職者医療制度の創設等による市町村国民健康保険への財政影響等を考慮し、市町村に対する国庫補助を現行の医療費の百分の四十五から医療給付費の百分の五十へと変更になり、補助対象を医療費から医療給付費に改正された。

エ 日雇労働者健康保険制度の廃止

日雇労働者健康保険制度を廃止し、日雇労働者を健康保険の日雇特例被保険者とし、その給付内容及び保険料については、就労の特性を考慮し、一般の被保険者と実質的に均衡のとれたものとなるよ

う定められた。

オ 改正の要旨

(資料1〜6)掲載したので参照されたい。

 

(七) 出法改正に伴う財団法人福島県教職員互助会の対応と課題

ア 互助会の対応について

自治省からの実施通達等の遅れから公立学校共済組合本部の定款、運営規則の変更にも支障をきたし、共済組合の家族療養費附加金及び一部負担金払戻金の足切額二千円についても見切り発車で決定されたところである。

又、この足切額は昭和五十九年度の扱いのみにとどまり昭和六十年度以降どのようになるか不明である。従って互助会においては、財源状況等もありこれらを昭和六十年度事業計画の立案と同時に長期的対応を決定する考えである。

イ 互助会の今後の課題

互助会は、共済組合の補完的役割として発足し、家族医療補助金等の給付及び福利厚生事業等を柱に実施してきたところである。

しかし、今回の法改正により、本人について一割自己負担の窓口

 

 

 


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