教育福島0096号(1984年(S59)11月)-022page
昭和59年度
福島県視聴覚教育研究大会
ニューメディア時代の
視聴覚教育の原点を探る
第三十二回福島県視聴覚教育研究大会が十月二十二日(月)、会津若松市の行仁小学校など三会場で開催された。
最近の学校教育は、社会情勢の変化や情報化社会の進展とともに、指導内容の多様化にともない日々の指導方法の改善が強くさけばれています。
そうした時、視聴覚教材の活用は、幼児および児童、生徒の興味や関心を高め、主体的に学習に取り組み、指導内容を深めるのに最も適しています。
一、視聴覚教育研究大会の概要
(一)、研究主題
「豊かで確かな考えを育てるための視聴覚教育をどう進めればよいか」
(二)、各部会の研究主題と会場校
○幼稚園部会……白梅幼稚園
「日常の保育に視聴覚教材を生かすにはどのようにしたらよいか」
○小学校部会……行仁小学校
「学習意欲を高めるために、視聴覚教材や教育機器をどう活用すればよいか」−教育機器の活用による学習指導法の改善−
○中学校部会……一箕中学校
「効率を高める授業の展開」−教育機器の効果的な活用−
(三)、公開保育および公開授業
幼稚園部会では、OHPとVTRを利用して、四歳児と五歳児の保育状況が公開されました。
また、小学校部会では、算数と社会科について、問題意識や学習意欲を高めるため、教育機器をどう活用したらよいかという観点から授業が公開されました。
中学校部会は、全教科にわたり教育機器を利用した学習活動が公開されました。
(四)、研究協議
各部会ごと、問題提起者から視聴覚教育の実践例が発表され、それにもとづき活発に、次のような意見が交換されました。
○視聴覚教材の特性をどう授業に生かすか。
○何を、いつ、どんな場面で、どんな形で使用すれば、より効果があるのか。
○いつでも、どこでも、だれもが、ごくあたりまえに使えるようにするにはどうしたらよいか。
○視聴覚教材の整備をはかるにはどうしたらよいか。
○どこで、どんな評価をするのが望ましいのか。
(五)、講演
全国視聴覚教育連盟事務局長の関口勇先生が「視聴覚教育の進め方」というテーマで講演されました。
先生は、視聴覚教育とは、事実に即してものをみることであり、知的好奇心をよびおこし、学習を深化させるための素材提供として重要であることを力説し、OHPやスライド、VTRなどの使用をぜひ広めてほしいと訴えました。
二、視聴覚教育の今後
近年、ニューメディア時代といわれ、新しい情報伝達システムが次から次へと開発されています。しかし、視聴覚教育の原点は、自分で考え、自分で判断し結論をだすことで、いわば「みる、聞く、考える」ことです。この原点をしっかりおさえて発展させねばなりません。また、どんなにすばらしい情報システムが開発されても、それは人間の働きかけによって機械が使用されるものであり、主体生が失われないよう配慮する必要があります。さらに、学習内容をしっかり把握し、選択した情報を教材としてとり入れれば、ますます視聴覚教育が発展するものと思います。
参加者多数での開会式
熱心にテレビを視聴する白梅幼稚園児