教育福島0096号(1984年(S59)11月)-034page
3)評価方法
(ア)定期考査の他に、各節ごとの到達度テスト及び学習の参加状況を加味して、総合的な評価になるように配慮した。具体的に評点Pの算出は次のようにした。
X:定期考査得点(各講座共通問題の得点)
A:一〇〇点満点、(各講座別の問題の得点)
B:一〇〇点満点(各講座ごとの問題の得点)×=0.6A+0.4B
Y:到達度得点(各節ごとの到達度テストの平均点一〇点満点)
Z:参加度得点(授業への参加の度合を出席率、課題等から算出する。五点満点)
P:=0.85X+Y+Z
(イ)学習の個別化(形成的評価)
一節終了ごとに到達目標に応じた問題を作成し、到達度テストを行ない、項目別に統計を取った。目標に達していない者に対しては、授業のやり直しや、追指導を行なった。このテストは指導内容の理解と定着の度合を早い時点に把握して、指導の個別化を一層進めるために活用することができた。また教師にとっても、教材の適切さを検討するのに非常に効果があった。(表4)
(五)教育的効果
二クラスを三講座に編成し、到達目標に従って内容を与えたため、授業が非常にわかり易くなり、ゆとりのある授業を行うことが出来た。講座別の到達度テストを行うことによって、生徒の理解しにくいところを早めに発見でき、それにスムーズに対処することができた。このため消化不良を起こす生徒が少なくなっており、α・β講座とも低得点者が減少している。特にα講座では人数が少ないため、個別指導が行き届き、コミュニケーションもかなりうまくいっている。
(六) 問題点及び今後の課題
1)α講座は少人数で個別指導が徹底でる反面、生徒自身による家庭学習の時間が少なく、また、構成メンバーの間での切瑳琢磨もないため、意欲をもって向上しようとする者が少ない。
2)応用講座は到達目標が高すぎたせいか、上位層の伸びが予想したものより少なかった。また、下位の講座の方が評価において有利であると判断し、力があるにもかかわらず下位の講座を希望する者がいた。評価をいかにすべきかが今後の重要な課題である。
3)各講座に生徒が分かれて授業を受けるため、クラス間の移動を伴うので落ちつきを欠きがちである。また、担任は生徒を掌握することが困難である。
4)名簿作成や点数記入等、事務的に煩雑な仕事が増し、また、同じ進度を確保するための補欠授業等で、数学科の負担が重くなってきている。
〔英語科〕
(一) 研究小主題
「学習意欲を引き出すための、習熟の程度に応じた指導方法の研究」
−習熟度別学級編成を中心に−
(二) 研究小主題設定のねらい
英語学習に対する生徒の意欲が全般的に高くなく、学力差が大きい。学習が進むにつれて一層学力差が拡大し、成績下位の生徒は意欲を除々に失ない、一方成績上位の生徒は伸び悩む傾向が見られる。習熟の程度に応じた指導方法の研究を通して、これらの問題を解決する具体的方策を発見したい。
(三) 研究を進める上での配慮事項
習熟の程度に応じた学習目標の的確化を図り、指導過程に可能な限り「形成的評価」の考え方を取り入れ、実態に即応した「わかる授業」を進める。授業の一層の活性化を図るため、多面的な言語活動をさせる。従来の指導法
表3 習熟度別学級の到達目標
表4 学習の個別化の指導