教育福島0097号(1984年(S59)12月)-006page
外は内を作り、内は外を作る
陶芸家
瀧田 項一
〔筆者紹介〕
氏名 瀧田 項一・たきたこういち
昭和 二年
栃木県烏山に生まれる
昭和二十一年
東京美術学校工芸科卒業 富本憲吉氏、浜田庄司氏に師事
昭和二十八年
日本民芸館新作展にて個人賞受賞
昭和三十四年
国画会会員。パキスタン美術大学陶芸科、主任講師に招かれ渡航
昭和三十七年
会津若松にて作陶を再開
昭和四十八年
西ドイツ、ケルンにて個展開催
昭和五十一年
個展、以後毎年開催
昭和五十四年
和光に個展開催
昭和五十六年
和光に個展開催
昭和五十八年
西ドイツ、デュッセルドルフにて個展開催
むかし海軍兵学校には、大きな鏡が置いてあって、生徒はその前に立って自分の服装を正したものだそうだ。やがて士官となる者の身だしなみであり、自分を凝視めることによって、己の心への戒めでもあった。
「外は内を作り、内は外をつくる」と言われる。仏門の修業の一つに身なりを良くする、ということがある。仏門にある修業僧が何故身だしなみを厳しくされるか、これは基本的な身辺の整理なのであろうし、また、その整理され身ずくろいが整った時、はじめて心の平静を得るのかも知れない。
内側さえ良ければ外側はどうでも良いと言う人がいるが、私は、そうは思わない。キチンと衣服を正すと、気持ちまでいつの間にかひきしまるものであるが、朝起きて顔も洗らわず、髭も剃らずに居ると一日中だらけて、とても我慢出来ないのは私だけであるまい。私は、仕事柄職人達との付き合いが多い。身だしなみをチャンとした職人は、その仕事もきちんとして居り、律義の人が多い。
いま、私の許に五、六人の修業中の若者が居る。朝、無精髭を生やした儘出て来ると、一喝する。「自分の顔の