教育福島0097号(1984年(S59)12月)-021page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

随想

ずいそう−−はじめての仕事、夢のある仕事、そこで学んだことは何だろうか?

 

授業が勝負だ

高橋 是維

 

校は、生徒数約千四百五十名、職員数五十名の県内でも有数の大規模校です。

 

私が新任教員として、はじめて勤務することになったいわき市立平第三小学校は、生徒数約千四百五十名、職員数五十名の県内でも有数の大規模校です。

学校の姿をうつした新川がゆうゆうと流れ、市街地にありながらすばらしい環境に恵まれております。子供達は明るくのびのびとしており、「負けじ魂」を信条とし、学習に音楽に運動にと一生懸命に取り組んでおります。その他にも、青少年赤十字活動や緑の少年団などの活動を活発に行っております。

私は三年生を受け持っていますが、四十名の子供達の視線を一斉に受けた時の緊張感と感動は、今でも鮮明に浮かんできます。

学生時代は、いろいろな教育書を読み、教員になったらこうしよう、ああしようと期待に胸をはずませておりました。ところが今、改めて振り返ってみますと何かと反省材料ばかりが多く、自分の考えていたことの半分もできなかったように思います。やはり、理論と実際との違いなのでしょうか。

子供達は本当に正直です。苦労をしながら時間をかけて教材研究をして授業に臨むと、子供達の目の輝きが違ってきます。逆に教材研究不足の授業はどこかで流れが中断し、子供達がざわつき、教師の方でもあわて出し、焦点のぼやけたつまらない授業になってしまいます。

先輩の先生にこんなことを教えていただきました。「教員は授業が勝負だ。一時間一時間を大切にし、充実した授業をすることが最も大事なことだ」本当にその通りだと思います。

授業以外のこと、あるいは学級以外の仕事もたくさんあります。私は週に四回、朝と午後に分けて剣道を指導していますが、子供達の精一杯のかけ声や熱いまなざしに触れるたびに、武道を通しての教育のすばらしさを痛感いたします。

幸い、私達教師とコーチ合わせて六人で指導した子供達は、今年度の福島県大会において準優勝という輝かしい成績で、全国大会へも出場しました。大会においては、みごとに初戦を飾り自信に満ちて帰ってまいりました。

私は子供達の武道館での堂々の入場行進や、自分の力を十分に出し尽くし汗を飛び散らしながらの立派な戦いぶりをみて、「負けじ魂」の四文字を頭に浮かべながら胸が熱くなりました。このようなすばらしい光景に触れ、子供達に精一杯声援しながら、『大学でアキレス腱を切断しても、剣道をやめないで続けてきてよかった』とつくづく思いました。

また、試合の当日に私は必死のアドバイスをしたのですが、試合前や後の子供達への一声、一声、それこそがまさに教育そのものであると思えるし、どのようにして、最も効果的でかつ適切な言葉を投げかけることができるかは、毎日の子供達との接し方や観察のしかたで決まると思います。それはもちろん、剣道のみに限ることではなくて、毎日の一時間一時間の授業の中でも大切なことの一つだと思います。

夏休みも終わりに近づいた時、六年生の父兄からこんな葉書が届きました。「残暑お見舞申し上げます。本当に暑い中、剣道を御指導して載きましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い致します」

返事を書きながら、こんなことを思いました。『俺はとうとう先生になったんだな、教師って本当にすばらしい仕事なんだ。子供達のためにとことん尽くすこと、それが仕事なんだ。やるだけやれば認めてくれる子供が必ずいるんだ』

最後に、このすばらしい学校で、今までよりも、もっともっと子供達の一人一人を理解し、大らかにそして細やかに、子供達と共に力一杯がんばっていきたいとはりきっている今日この頃です。

(いわき市立平第三小学校教諭)

 

ふれ合いの中で

庄司 順子

 

いね」こうして生徒とのコミュニケーションが、毎朝事務室から始まります。

 

朝早く白い息を吐きながら印刷機を回していると、今朝もまっかなほっぺをした生徒達がやって来て、「先生、大変だね。がんばって」と出来たてのプリントをのぞいて行きます。「あとで手伝うから」「うん、お願いね」こうして生徒とのコミュニケーションが、毎朝事務室から始まります。

学力差のために生じるギャップを少

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。