教育福島0097号(1984年(S59)12月)-025page

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あると思う。

この半年間、どうにか仕事を続けてきたが、次のことを大いに反省すべきだと思う。

ひとつは、生徒の指導の見通しが持てないことである。計画をたてても、見通しが甘いために計画だおれとなり、準備不足、練習不足のまま生徒を行事等に臨ませてしまった。申し分けないことだと思っている。

それから、ひとつの仕事に熱中すると、他の仕事をおろそかにしてしまう傾向である。これは、好きな仕事しかしたがらない私の賛沢と、忙しさにかこつけて他の仕事をしないという意志の弱さによるものだと思う。全くだらしがない。

いずれにしてもこれからが勝負である。部活動は今度は追われる立場だし、来年は教職二年目で、新米だと言い分けして甘えてもいられない。「これからが勝負」と自分に言い聞かせて、頑張るつもりである。

(北塩原村立桧原中学校教諭)

 

目に見えぬ価値を求めて

北勝 英子

 

大きかった。あれから七ケ月、私の教師としての意識もかなり変わってきた。

 

例年になく長く厳しい冬がようやく終りを告げた四月、私は社会人としての第一歩を踏み出した。茨城県勝田市で育ち、四年間の大学生活を東京で過ごした私は、親戚がいるとはいうものの、全く知らぬ土地で教員になるということに対して不安がなかったといえばうそになる。しかし、教師として教壇に立てるという喜びの方が大きかった。あれから七ケ月、私の教師としての意識もかなり変わってきた。

福島中央高等学校定時制課程。生徒の年齢、職業、学力、どれ一つ取ってみても実に多様である。実際に教壇に立ってみると、昼間の仕事に疲れ、居眠りをする者、仕事からの解放感から友人との雑談に興じる者も少なくなかったが、働きながらでも学びたい、資格を取得したいという熱心な生徒もおり、その視線にどきりとした。若いから少しくらいの失敗は許されるだろうというような甘えは捨てねばならぬことを生徒から学ばされた。

自分の高校時代を振り返ると、野球部マネージャーとしてグランドを走り回った日々が脳裏をよぎり、授業の思い出は少ない。むしろ大学受験という目標に向っての勉強の方がなつかしい。一つ一つの授業は極めて現実的なものに直結していたように思う。しかし、この学校ではそれがない。四年間に渡る仕事と勉強の両立による報いは卒業証書一枚である。いや、彼らが学校に来るのは、もっと別の目に見えぬ価値を求めてのことではないだろうか。

学校と職場の間にはさまれて悩む生徒が相談に来ることがある。学校に来るために他の人より先に帰ることになり、残って跡片付けをする同僚から反感をかうとのことである。どうしてそういう不快な思いをしてまで学校に行かねばならないのか。その意義はどこにあるのか。教職につくことができた幸福感に浸っていた私は、改めて自分の本職が何であるかの問い直しを迫られた。

大学で上代文学を専攻し、古典を読む喜びを与えたいという思いが私にこの職を選ばせたわけであるが、そういう専門的な知識や本から仕入れた指導技術にとらわれてはいけないのだということにようやく気がついた。私は目の前の生徒が何を必要としているのかを見、それに応えることの重要性を忘れていたのである。これからの人生を生きるために必要な目に見えぬ価値を求めて学ぶ生徒のたくましさ、したたかさを感じ、その価値を与える側であるのだと、自戒の思いを新たにした。

教師は教育の専門家である。教えるからには何らかの成果がなくてはならない。この高校に通う生徒達は、もう社会人ではあるが、四年間の高校生活を終えた時、厳しい世の中で生きていける力を、身につけさせてやりたいと思う。そのために、教師としての自己研鐙を忘れず努力していきたい。

(県立福島中央高等学校教諭)

 

本と人の接点に立って

吉田和紀

 

気持を盛り上げる為の環境の一つとして、図書館が存在するような気がする。

 

人間などというものは、生来、何でも知ってやろうという、いわば好奇の塊りのような気がする。そして、それを促進するものとして、言いかえればそれを満たそうとする気持を盛り上げる為の環境の一つとして、図書館が存在するような気がする。

私が図書館で働くようになり八ケ月が経つが、図書館がオープンしたのが七月の末であるから、正式な業務としてはまだ四ケ月である。オープン以来、入館者も十七万人を数えようとしている今日であるが、月日の経つのは早かった。まさに早かったの一語に尽きるというのが実感である。実際にカウンターに座り、レファレンス等業務を行ない、多くの利用者と接した。まだなんとなくではあるが、今までの理屈だけの図書館が、現実のものとして感じとれてきたような気がする。また、利用者の方が図書館に来て私たち職員に何かを尋ねる時、当然信頼されているのだろうと感じる。私の拡大解釈なの

 

 

 


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