教育福島0097号(1984年(S59)12月)-029page

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産業教育百年−時代の産業人を育成−

−その歩みと記念事業−

 

産業教育百年

(その歩みと記念事業)

 

一、はじめに

昭和五十九年は、わが国において産業教育制度が発足して百周年に当たる誠に意義深い年である。

明治十六年に「農学校通則」、同十七年に「商業学校通則」、「東京職工学校規則」が制定公布され、産業教育の学校教育制度が創設された。以来百年、わが国は明治・大正・昭和と激動の時代を経験してきたが、現在の国民生活の安定向上はもちろん、国際社会においてもその優位を保ってきたのは、卓越した技術力とそれを支える勤勉さによるものである。そして、それらの特性を培い育てるに当たり産業教育によるところが極めて大であったといえるのである。いま一世紀を経た今日、この教育を直接担う者の自覚と決意を新たにし、広く県民各位に産業教育の重要性をご理解いただき、いっそうのご協力を願うため、福島県産業教育百年記念式典・記念事業を行うことは、実に時宣にかなったものであると思うのである。

 

二、本県産業教育の歩み

表1は本県産業教育の歴史を大まかに示したものである。

戦前の農業を中心とした産業教育から戦後の流通経済・工業技術の興隆、特に昭和三十年代半ば、スプートニクが宇宙に打ち上げられた頃からの科学技術・生産技術の飛躍的発達、コンピュータとエレクトロニクスの進歩に対応する学校、学科の設置・転換など、急激に変化、進展する社会の要請に敏速に対応したものであったと思うのである。

昭和五十九年四月現在の本県産業教育関係高等学校は次のとおりである。

○農業に関する学科

全日制十二校・一分校・三十三学科

定時制一校・一学科

○水産に関する学科

全日制一校・四学科

○工業に関する学科

全日制公立十一校・五十一学科

定時制公立併置三校・五学科

全日制私立六校・十七学科

○商業に関する学科

全日制公立十五校・二十二学科

定時制公立一校・一学科

全日制私立四校・四学科

○家庭に関する学科

全日制公立十四校・一分校・十六学科

全日制私立三校・三学科

○看護に関する学校

全日制私立二校・二学科

 

三、将来の展望

エレクトロニクス・バイオテクノロジーなど先端的な高度技術は、とどまるところを知らない急速な進歩を続けている。

そして情報化社会の進展とサービス経済化の進行は、われわれの日常生活に大きな利便をもたらすだけではなく、社会のあり方にまで大きな影響を与えつつある。

このことは、当然現在の産業教育にも大きな変革を迫るものとなりつつあり、単に工業学科や商業学科だけの対応では済まされない状況となっている。

あらゆる産業教育関連学科のなかで、このことについての基礎的・基本的な項目を洗い出し、新たな発想に基づく教育内容の構築が求められることになろうし、教育方法もそれに応じるものとすることが必要となろう。同時にまた産業人の内面的な、人間性の陶治と確かな倫理観の確立とが強く求められることも必至のことと思うのである。

 

記念事業

 

「福島県産業教育百年記念会」の結成

産業教育にとって歴史的なこの年を祝賀し、更に将来への飛躍と福島県産業教育振興会の充実発展を期して、意義深い記念式典と記念事業を実施しようと、今は亡き振興会前理事長、油井賢太郎先生の献身的なご努力によって、県当局、県教育委員会、産業・経済界、教育界の約六十に及ぶ団体からなる、「福島県産業教育百年記念会」が発足した。

そこでは、次の事業を計画した。

(1)、記念式典並びに振興大会

 

 

 


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