教育福島0097号(1984年(S59)12月)-034page

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わたしの研究実践

 

自からの力で社会事象のはたらきに気づく社会科学習指導の手だて

 

会津若松市日新小学校教諭

星 文雄

(現、下郷町立檜原小学校)

 

一、主題設定の理由

低学年のこれまでにおける社会科学習指導を振り返ってみると、楽しさや喜びを考える余りに、表現活動や観察、体験学習等を安易に計画し実践してきたように思う。

そのために、児童は楽しく学習するけれども意味がわからないでいたり、多様な活動につまずいて首をかしげたりして、自分たちの学習ができないでいたようである。

そこで、児童のつまずきを排除し、これまでの学習活動のあり方を確かめながら、低学年といえども、自らの力で事象に気づいていく手だてを考えることにした。

 

二、研究の仮説

 

指導過程の中に三つの指導の手だてを組み入れることにより、自分のわからなかったこともわかり、分散されてしまう思考も一方向化するので、つまずきが排除されて、自らの力で事象のはたらきに気づく学習活動ができるのではないか。

※三つの学習の手だてとは

○社会事象のちがいに気づく

○社会事象のちがいを深め合う

○体験により、学習内容や問題

をとらえる

 

三、研究の計画

(1) 研究対象学年 第二学年四十三名(以下省略)

 

四、実践の概要

(1) 研究調査をし仮説の具体化を図る。

児童のつまずきの原因把握と研究の具体的な方向を定めるために、自作の質問紙により実態をとらえた。その結果、子どもたちは、

1) 学習用語やことばの意味が理解できずにいる。

2) 多様な活動を短時間で行っている。

3) 見方、考え方のちがいをまとめ、深め合うことができない。

などつまずきの原因としている。

(2) 三つの指導の手だてを次のようにとらえて、ねらいを明確にした。

1) 事象のちがいをとらえる。

二つの事象を対比させ、自らとらえる事実事象を多くし、多面的な見方をさせる。(比較学習の手だて)

2) 事象のちがいを深め合う。

自らとらえた事象の認識を深め、より多くの事実事象に気づく学習をさせる。 (相補学習の手だて)

3) 体験を通し、学習内容や問題をとらえる。

ことばや用語、学習内容のつまずきを体で理解し、自らの力で進められるようにする。(体験学習の手だて)

(3) 指導計画

1) 三つの指導の手だてを学習単元の中に位置づけ、指導構想を立てた。(表1)

2) 単元に位置づけた三つの指導の手だてに指導の順序を示した指導

 

表1 指導計画単元への位置づけ

表1 指導計画単元への位置づけ

 

 

 


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