教育福島0097号(1984年(S59)12月)-039page
知っておきたい教育法令
伝染病・食中毒の発生時の措置
一、はじめに
学校において伝染病や食中毒が発生した場合の措置、予防等については、学校保健法、同法施行令、同法施行規則(以下それぞれ「法」、「施行令」、「規則」という)。ならびに伝染病予防法に基づいて、適切な予防対策を講じる必要がある。
また、万一発生した場合には、まん延を最少限度にくいとめるために、児童・生徒の健康管理と学校環境の衛生管理を十分行うとともに、予防のための保健指導を徹底する必要がある。
二、実態把握と情報の収集
学校内において、伝染病や食中毒にかかっており、または集団発生の疑いがある児童・生徒等を発見した場合には、的確な実態把握と地域の関係医療機関(学校医等)や保護者からの情報を得て、疾病の早期発見につとめ、その対策に万全を期する必要がある。
三、発生時の措置
一、学校において、伝染病や食中毒が発生した場合には、次の事項に留意し、速やかに適切な措置を講ずる必要がある。
(1) 校長は、速やかに教育委員会、学校医、保健所等に報告(速報の場合は電話)をするとともに、基本的な予防対策の立案を教頭や保健主事に指示し、緊急にその対策方針を決定し、患者の措置に万全を期すこと。
(2) 学校医の意見を聞き、健康診断、出席停止、臨時休業、清毒その他の事後措置の計画をたて、これらに基づいて予防措置を行うこと。
(3) 保護者その他関係方面に対しては、患者の集団発生状況を周知させ、協力を求めること。
(4) 児童・生徒等の食生活について十分の注意と指導を行うこと。
(5) 伝染病や食中毒の発生原因については、関係機関の協力を求め、これを明らかにするようにつとめ、その原因の除去、予防につとめること。
二、法第一二条の規定による出席停止の措置は、学校医その他の医師の意見を聞いて行うものとする。
また、施行令第五条の規定により出席停止の指示を行うにあたっては、その指示(その理由および期間)を明確にし、これを励行するよう適切な指導を行うこと。
三、法第一三条の規定により臨時休業を行う場合には、学校医その他の医師の意見を聞き、その適正を期するとともに、伝染病の発生防止につとめること。
また、臨時休業中における児童・生徒等に対する生活指導、学習指導および保健指導を適切にすること。
臨時休業後授業を再開する場合には、児童・生徒等の欠席状況、罹病状況などをよく調査し、保健指導を十分行うこと。
なお、必要があると認めるときは、更に臨時休業その他の措置を講ずることができる。
四、施行令第六条の規定による報告は、次の事項を記載した書面をもってするものとされている。(規則第二一条)
(1) 学校の名称。
(2) 出席を停止させた理由および期間。
(3) 出席停止を指示した年月日。
(4) 出席を停止させた児童一生徒等の学年別人員数。
(5) その他参考となる事項などである。
四、むすび
学校における伝染病や食中毒については、日常における登校児童・生徒の健康観察や保健室来室者の数と訴えの内容等を十分把握し、早期発見の手がかりにすることが大切である。
なお、児童・生徒等の伝染病や食中毒の発生時の措置等については、福島県学校保健協会編、福島県教育庁保健体育課監修による「学校保健・学校安全の手びき」、「学校における応急処置の手びき」を参照されたい。
(県教育庁保険体育課主任指導主事兼保健保険係長 堀金 良臣)