教育福島0098号(1985年(S60)01月)-011page
であるにもかかわらず、そうした地図を十分に生かしたノート作りの工夫がなされていなかった。
エ、知識の詰め込み的な地図指導に偏り、地図を通して地域の変容を発見したり、楽しみを味わらせる工夫や手だてに欠けていた。
オ、小・中・高等学校における系統的な地図学習の内容が十分に理解していなかった。
そこで、生徒の主体的な学習活動を促して、日頃から地図を読んだり、地図を描いたりしていくような略地図中心のノート作りに改善と工夫を加え、継続的に授業を進めていくことによって、読図・作図の能力は高まっていくのではないかと考えて次のような仮説を設定した。
二、仮説
(1) 仮説
地理学習の指導において、略地図中心のノート作りに工夫を加え、継続して指導すれば、読図や作図の能力は高まっていくであろう。
(2) 仮説のための理論
1)「読図」能力
地図に表わされている記号や約束を正しく読みとる初歩的な読図からやや高度な読みとりまでを総合的に読図として取り扱う。
例、地形と田畑及び農産物の分布状態さらに事象相互の関係、因果関係、比較、総合把握をさせるなど。
2)「作図」能力
生徒は地図をどのように描くことができるか、といった作業的学習などの初歩的なものから、やや精度の高い図法までを総合的に取り扱う。例、距離や長さを測定する。図の拡大と縮少をする。さらに土地利用図や集落分布図を作る。高度帯の着色をする。
3)「継続」能力
年間を通して系統的・計画的に略地図中心のノート作りを進める。
三、計画、省略
四、概要と考察
(1) 研究の経過
小学校から中学校まで「地図」指導についての系統化を明確にした(省略)
こうした地図指導における学年系統をみると、観察学習を重視し地図を読み、かつ描くことの楽しさを味わわせようとする意図が読みとれる。地理学習は本来「野外が第一の教室であり、地図が第二の教室」である、といわれている。それは、野外観察と調査活動において地図を通してその地域を把握することにねらいがある。
そこで次のような方法によって読図と作図の能力を高める学習活動を展開した。
ア、野外観察と調査の実践(総時数十一時間・詳細は省略)
イ、読図・作図の能力を高める指導
資料1 地形図の読図指導 −資料活用の能力−
本時のねらい
(1)安積疏水が出来る以前の土地の様子や当時の人々の生活の様子について、とらえることができる。
(2)地形図や土地利用図を積極的に利用し、それらに習熟する。