教育福島0098号(1985年(S60)01月)-016page

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研究論文特選

雷神山の教材化と個にはたらきかける

指導はどうあればよいか

 

白河市立白河第一小学校教諭

深谷和子

 

一 主題説定の理由

 

(一) 地域の豊かな自然を生かして

1) 雷神山は学校から徒歩五分という近距離にあり、かつ比較的狭い範囲に植物相の豊かな特徴を持った山である。 (資料1)

2) 植物分布や生育環境による違い(資料1−(2)(3)(4))が、子どもたちの目からもとらえやすい自然の山である。

3) 実態調査から理科の好きな子ども

でも、植物教材となると苦手だと言

う子や山そのものが苦手である子が

多い。

(二) 低次の子どもの学習に目を向けて

1) 本校の学習形態は、追究学習であり、課題が決まれば、既知事項を生かし、見通しをもって自分の力で課題を解決していく形態をとっている。したがって、全員に学習を成立させてやるには、いかにして、低次の子どもに自立するための手立てを講じればよいかが問題となる。

2) 雷神山には、五つの地区があり(資料1−(1))一つの地区についてだけ学習していった子どもでも、単元のねらいに導いてやれる見通しがもてる。

3) 低次の子どもは、自然の変化を見すごしてしまうために気づきが少なく、何をしたらよいか分からないといった点が、一人追究のむずかしさにつながっている。

以上のことから、"雷神山"を子どもの発達段階に合わせ、教材としての価値を考えながら、「植物どうしの関係」という単元の教材化をはかっていこうとした。さらに、地域の豊かな自然を生かすことによって、低次の子どもたちの学習を成立させてあげたいものだと考えたからである。

 

二 研究の仮説

 

(一) 個人追究学習を重視した一斉追究学習との二本立て(指導計画省略)

1)個に応じた学習○ 上位の子は上位なりの学習内容を下位の子も下位なりの学習内容を解決する為に興味深く学習に取り組め、それでいて、単元の終わりには、全員がねらいに達成できる為には、個人追究学習を重視し、一人学習の時間を十分にとり、さらに、まとめの段階では、個の学習を十分生かす場の設定をしたならば、個に合った学習が成立するであろう。

2) 単元のねらいに迫る為の一斉学習

○ 個人追究で学習が不十分だった内容や単元のねらいに迫る為に、大きな課題を全員で追究し合う時間が必要になる。その為、個人追究が生かせ、しかも、みんなで話し合ってはじめて解決できる課題を単元の導入に与え、個人追究と合わせて、ねらいに迫っていくという二本立てを行つたならば、満足感、充実感を味わせることができるであろう。

 

以上のような二本立てを具体的に言うと、雷神山全体からとらえた課題を一斉学習時の課題として、個の追究をした後で話し合いを持つ。個人追究では、自分の力に応じ、一つの地区だけ取り上げる課題追究の子も四つの地区五つの地区を取り上げる課題追究の子も、個に応じた追究をしていき、個の追究の補い合いを一斉学習に行うということであれば、無理なく個の学習を成立してやれるだろうと考えた。

 

深谷和子先生の授業風景(白河一小)

深谷和子先生の授業風景(白河一小)

 

 

 


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