教育福島0098号(1985年(S60)01月)-018page
(二) 個にはたらきかける指導
1)一人一人に追究意欲をもたせる為の指導
なんといっても、自分のやってきたことに対して賞賛されることが意欲につながっていく。
個人追究では、授業の中でそれができない為、できる限り感想を大切にし、一回ごとに感想を提出させ、目を通してやった。そうすることによって、賞賛する機会を得るばかりでなく、つまづきやとまどいなどにも助言を与えてやることができ、一人学習の不安を取り除いてあげるよう配慮した。
一人一人の感想に目を通し、言葉を書き込んでやることは、多くの時間を要したが、現地学習では、低次の子の指導に時間を費すことができた。
目的意識をもって山へ入る為の工夫として、"自分のテーマ"と称した大きな課題を解決する為、山へ入るごとの小さな課題をもつよう計画を立てさせた。山へ入る目的をもって進めたことは、追究意欲の持続へつながっていった。
しかし、問題は、課題解決への時間が一人一人異なることである。その為、不足である子に対しては追究タイムを設け、時間を確保してあげた。
以上のような手だての他に、一人一人の追究の姿を写真に収めてあげたことも意欲を喚起させていったようだ。
2)一人一人への課題のもたせ方の指導
○ まず、一番初めに雷神山へ入る際、観察の視点を明示したプリントを与え、植物の名ばかり気にし、育ち方には注意が向かないことのないよう配慮した。
○ また、山を見回っての気づきは、地図を与え、気づいた場所を明確にさせながら、地図の上にメモを取らせ、その気づきを"自分のテーマ"に生かしていかせた。その際、一回りするだけなので、どんなつまらないことやどんな小さな気づきもメモをとることを指示し、自然を鋭く見つめる目をもたせられるよう指導して歩いた。
○ 山を降りるまでに自分の課題(テーマと呼んでいる)を見つけられるよう相談にのってやり、全員が課題を見つけてから、山を降りた。
○ その後、すぐ"はじめに"と題して、課題設定の理由を感想という形で書かせ、そのままパンフレットに生かした。
○ 全員の子の課題を把握したならばそれを印刷して子どもたちに渡し、知識を広げる意味や自分と似た課題の友達のいることを知らせた。それぞれが一人一人違った課題をもったことははじめての経験であり、また、それが印刷されて配られたことで、子どもたちは大変な興味と喜びを示した。
3) 既習事項を生かす為の指導
この「植物どうしの関係」という単元は、小学校で学習してきた植物教材のまとめとも考えられる内容である為、既習事項の堀り起こしをしてやれば、一人で学習を進めていくことができる教材である。したがって、学習の進め方を確かめ、単元のねらいをふまえて学習させていけば、十分一人学習が成
資料2 雷神山と中庭の比較(学習アンケート結果)
冬の雷神山(AとEの境目がはっきりわかる)