教育福島0098号(1985年(S60)01月)-020page
て、書けないときは、空き時間を利用したりして、そばについて指導した。(実例は省略)
五、研究の成果の一部
(一) 子どもたちの気づきを大切にし、その気づきから問題を見出し、課題をもったことは、追究しようとする気持ちを誘発した。
(二) 自らの課題作りは、他の人にない研究をしょうという意欲をかき立て、また、全員の課題が印刷されたのを見ると、早く調べてみたいという意識の高まりが生じ、追究の方向が明確にされていった。
(三) 初発の気づきだけに終わることなく、自然を目的的に見直すことにより、事象を鋭くとらえた観察内容が多くなった。
(四) 五つの地区を利用し、だれでもが無理なく追究でき、能力に応じた追究がなされていった。
(五) 子どもたちの多様な自然への追究も、話し合いにより、共通点・差異点が見出され、無理なく自然のしくみやきまりがとらえられていった。(多様性の中の統一性を、個人追究学習と一斉追究学習の二本立てで行ったことは効果があった。)
(六) 身近な自然の様子に親しみを持ち何回も現地学習するうちに、植物を生命あるものとして愛護しようとする心情が育ったり、人間に見立てた感情移入などの見られた観察がなされていったりした。
(七) 能力の高い子は環境条件をいくつか組み合わせて、能力の低い子には単一条件で考えていかせることができ、無理なく自然を探究できた。
(八) 能力の低い子にも、教師の指導の工夫により、意欲をもたせることができるし、成就感の中で理科を楽しいとする子どもを育てることができた。
(以下、パンフレットづくり上での成果は省略)
六、今後の問題点と見通し
この単元を実施するに当たってはいくつかの問題点をかかえているので考慮して実施していかなければならない。
(一) 一人一人の子どもの学習の進度の把握、教師の助言、援助、友達同志の支え合いがなければ学習は成立しなくなる。
(二) 十分な追究時間の確保年間計画指導、単元指導計画の見直しが必要。
(三) 教師の雷神山への下調べと、植物同志の関係についての知識をもって指導に当たらないと多様生の中の統一性が推し量れないで終わってしまう。
さらに、この教材の開発に当たっては次の六学年担当教師が継続していってくれるものと思う。
今後は、これまでの成果を生かし、植物以外の分野にも広げていき、どんな分野にも個の学習が成立するよう研究していきたい。
資料3 自然を鋭く見つめる目(子どもの観察ノート)