教育福島0098号(1985年(S60)01月)-041page

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飼ってかわいがり、観察したことを自由に粘土表現をさせてみた。

写真記録を見てもわかるように、体の特徴をよくとらえて大きく伸び伸びと作り、活動に満足してVサインを送り、みんな満足の笑みを浮かべていた。

 

3) 友達と協力して工夫しあい、伸び伸びと自由に活動できる指導の実践

 

ア、単元「たなばたまつりをしょう」における授業の実践

〈音楽・図工・国語書写〉

(指導計画省略)

 

ア) 五十八年度実践との相違点

教師の指示で活動するのではなく、自分たちで計画して、みんなで協力して「まつり」をするよう、教師は援助的な指導をすることにした。第一次の「たなばたまつりの相談」と第四次の「たなばたまつりをしよう」で子どもたちの発想を生かし、伸び伸びと活動ができるように配慮した。

 

イ) 指導の反省

これまでは一人一人の活動が多かったが、ここでは協力して一つのことを成し遂げるという喜びがあり、完成したささかざりの下での「まつり」はことのほか楽しかった。自分の願いを短冊に書き、たなばたさまの歌を歌い、グループの出し物を楽しみ情操教育にもつながつた。にぎやかな飾りを作るのに時間がかかり、「まつり」に十分時間がとれなかったのが残念であった。

 

4) 今後の実践計画

第二年次の研究はまだ途上にあり、二学期以降継続していくことにしている。これまでの研究はいわば研究の前段で、この次の「おちばや木のみであそぼう」十月では「学習のねらいをつかんで根気強く取り組ませる」更に十一月に「うごくおもちゃをつくってあそぼう」では「課題をもって取り組み理解したことを更に広げて工夫して確かな力を身につけさせる」まで進めたい。その他の教材の実践も通して「喜んで学習に参加し、自ら学びとる態度を育てる…」の研究主題の仮説の検証に努めていきたいと考える。

 

六、研究のまとめ

 

第一年次は合科的な指導についての試案を作成し、それをもとに実践して改善し、年間指導計画を完成した。今年度はそれをもとに児童が主役になれる「遊びの活動」を中心に内容を精選して指導にあたってきた。

第一年次はどうしても教師の計画が先行し、教師のしいたレールに乗せて活動させることを考えて実践していたが、「自ら学びとる態度を育てる」点からは弱かったと反省させられた。

第二年次は思い切ってレールをはずし、広いスペースの中で自由に活動させる中から子どもに発見させるように工夫してみた。遊び(活動)そのものを工夫させることから出発してみたが、とても効果があったと思う。

学習したことを、言葉や動作、造形活動などで自由に表現させてみたが、子どもたちは生き生きと表現活動に取り組み、思い通りの作品を伸び伸びとっくり、Vサインで喜びを示していた。

しかしながら、まだ研究途上で仮説の検証も不十分である。今後の実践こそが本当の意味での研究になっていくものと考えている。論文提出のため、一応この段階で仮りのまとめをしておくが、低学年においては、合科的な指導を積極的に取り入れ、自ら学びとる子どもを育てていくべきであるという実証的な結論は出せたものと考える。

 

七、今後の課題

 

合科的な指導の推進は、決して一教師の単独の研究で出来るものではない。いや、できるとはいっても、それはあくまでも個人研究的なものであろう。合科的な指導は、学校として取り組むべきものであり、学校が実施するものである。本校では、校長先生はじめ先生方が積極的な理解と協力、推進の機会と場を与えてくださり、私の研究もここまで実践を深めることができた。

今後は、私の記録をいかに積み上げ学校の実践として引き継いでいくかがひとつの課題である。

また、実践と合わせて評価についても取り組んできたが、「観察」のしかたと記録について、より効率的な方法を研究していかなければならないと考える。

あわせて指導計画も、実践しては改善し、更にくり返して、本当の意味での自校化をはかっていきたいと考える。

なにはともあれ、ここまで研究を推進することができたことに深く感謝しまとめとしたい。

 

キンギョの学習から(活動に満足して笑顔でVサイン)

キンギョの学習から(活動に満足して笑顔でVサイン)

 

 

 


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