教育福島0099号(1985年(S60)02月)-006page
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もっと多く出会いの機会を
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福島県立美術館長
原田實
何年か前、教えていた学生を相手にちょっとしたアンケートをしたことがある。文学作品の題名をいくつか並べ、その内容を知っているかどうか、読んだことがあるかどうかを答えてもらったのである。結果を見て驚いた。知っているが読んだことはないという回答がほとんどなのである。著名な作品をつないで時代の思潮や文化の流れをしゃべっていた私は、しばらく途方にくれた。
けれどもまた、こうも考えた。なにしろ彼らは忙しい。覚えなければならないこと、知っておかねばならないことが山とある。だからとても作品一つ一つにかかわっている余裕などないのだろう…と。むろん、それでなっとくがいったわけではない。
人間は生まれてからさまざまなことを体験しながら大人になる。いいかえれば、私たちはつぎつぎになにかに出会うことで知恵を獲得し感性を育てていく。そうしてとくに文学や美術などの芸術作品が感受性や想像力の発達をうながしてきたことは、よく知られている。ところが私の学生はそういう出会いの機会を失っている。これはどうしたことか。アンケートの結果から、私の考えは
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