教育福島0100号(1985年(S60)04月)-009page

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その提唱された理念をへ日本では次の答申の中に生かされ施策化することを提言している。

 

(2) 答申の中での生涯教育

 

1) 社会教育審議会での答申

 

昭和四十六年四月、社会教育審議会は「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」答申を行った。

その中の主要な提言は

(ア) 生涯教育の観点から教育全体を再検討しなければならない。

(イ) 生涯教育においては社会教育の担う役割は重要である。

(ウ) 生涯教育の観点から各年齢層における社会教育のあり方が把握されるべきことが必要である。

以上の三点を提言しているが、社会教育審議会の答申という性格から、社会教育の分野に限定され、それらの事業も従来の社会教育のわくの中で組み立てられるものに過ぎなかった。

 

2) 中央教育審議会の答申

 

中央教育審議会も昭和四十六年六月「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」の答申において、生涯教育の観点から全教育体系を総合的に整備することについて、さらに検討を加えることが今後の重要な課題であると指摘している。

また、昭和五十二年六月、文部大臣から「当面する文教の課題に対応するための施策について」諮問を受け、広く文教の諸問題について全般的な検討を加えた結果、長期的に取り組むべき重要な課題として、「生涯教育」に関することを取り上げ、昭和五十六年六月の答申の前文では「今日、複雑に変化する社会環境の中で、国民の一人一人が各人の様々な生活課題に応じて必要な学習を行い、それぞれの個性能力を伸ばし、生きがいのある充実した生活を亨受できるようにすることが、緊要な課題であり、また、社会の活力の維持発展のためにも重要である」と述べている。

また、この答申で生涯教育とは「国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習を助けるために、教育制度全体がその上に打ち立てられるべき基本的な理念である」と述べている。

この答申は、戦後の日本の教育行政の中でも、画期的なものであるといわれ、以後は、この答申に基づき諸施策が立案され実施されている。

 

(3) 福島県の対応

 

昭和五十三年三月以来県教育委員会内で生涯教育について研究推進してきたが、本年度からは、生涯教育の体制をさらに充実させるため、知事部局とタイアップして、「生涯教育推進本部」を発足させ、県民の期待にこたえる諸施策の発展を図ることとした。

 

二、生涯教育の推進の方向

 

これまで、主として社会教育行政面で、県民のニーズに応じて「生涯にわたる学習機会の充実」を図って各種の事業と取り組んできたが、今後は、全県的に大きな課題として、生涯教育の推進が位置づけられ前進することとなった。

その進むべき方向はおよそ次のようなことである。

 

(1) 本県の生涯教育の経過

 

昭和五十三年三月、県教育委員会は、第二次福島県長期総合教育計画を策定し、「未来をひらく県民のための生涯教育」の実現を目指して、教育・文化の拡充とその質的向上を図るため、次の三つを理念として、努力を重ねてきた。

 

1) 豊かな教養と正しい判断力をもつ人間の育成

2) 個人の価値を尊ぶ人間の育成

3) 健康な人間の育成

 

さらに、昭和六十年度までの長期展望に立って、教育行政の目標を設定し、調和と統一のとれた諸施策の推進に努めてきた。

 

1) 学校教育機会の拡充を図る

2) 教職員組織の充実を図る

3) 教育環境の整備充実を図る

4) 教育内容・方法の改善を図る

5) 社会教育機会の拡充を図る

6) 体育・スポーツの充実強化を図る

7) 文化の伝承と創造の促進を図る

 

特に、生涯教育推進上深いかかわりを持つ社会教育行政を中心に、その推進拡充と活生化を図ってきた。

生涯学習は県民一人一人が、自己の充実や生活向上のため、自発的意思に基づき、必要に応じ自己に適した手段、方法を選んで生涯の各時期にわたって行わなければならない。

この自主的な学習を助けるため、民間を含めた生涯教育関係機関の連携・協力を図る必要があり、その際特に地域社会において教育行政を担当する教育委員会が、生涯教育推進の調整機能を果たすことが期待される。

本県では、「生涯教育研究協議会」を県内七カ所で開催し、生涯教育の理

 

 

 


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