教育福島0100号(1985年(S60)04月)-015page

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社会通信教育で、更には、高等学校や大学に再入学したり、聴講したりして学習することが望まれる。

(エ) 文化的活動による自己充足

人間はだれでも心豊かな生活を望んでいる。

特にへ学業、職業を離れ、家事を離れた自由時間での生活の中で、自己実現を図り、自己充足することは、今後ますます重要なこととなってくる。

そのために、余暇時間をいかに活用するかが重要なこととなる。

スポーツで汗を流すことも各種の学級・講座で教養を高めることも、個人やグループでの趣味活動として、生活文化や芸術・芸能・文化を体験することも重要な意味を持つことになる。

こうした文化的活動は、余暇時間を持つ立場になってから必要になるのではなく、繁忙の中から時間を生みだし、幼少の時からの初歩的な体験を積み重ねて自分のものとし、新しい文化として創造し、更に、自己充足度を高めることができるのである。

したがって、心豊かな生活を実現する一つの方法として、文化活動による自己充足を図ることが大切である。

(オ) 市民的生きがいの創造

人はだれでも生きがいのある生活を望んでいる。

一方、激しい社会の変化に伴って、地域連帯意識や地域の教育力が薄れ、社会秩序が乱れがちになるなど社会のひずみが生じている。

このことは、価値感の多様化・価値基準の混迷、更には、都市化の進行に伴う連帯感の欠如や住民意識の希薄化と大きなかかわりをもっている。

そのため、今後は一人一人が正しい判断力を持ち、市民意識を高揚し、社会参加活動を通して、地域の連帯性を強め、住みよい地域づくりを行い、公民として必要な政治的教養を高めて社会生活とのかかわりで生きがいのある生活を確立することが望まれる。

(カ) 郷土理解と国際理解

ア) 郷土理解

自己を生み育んでくれた郷土を正しく理解し愛着を持ち進んで郷土の発展に寄与することは大切なことである。

特に、このことは青年期において重要なことである。

野外活動を通して、郷土の自然との触れ合いを意図的に持ったり、地域の行事に参加し、伝統文化に接し継承する活動を通して、感動を体験し郷土のすばらしさの認識を新たにして豊かな情操を育むことが重要である。

イ) 国際理解

国際化社会の進展に対応して、国際理解を深めるとともに、国際的視野を拡大していく必要がある。

今後、国際感覚を高めるために、外国事情についての理解を深めるとともに、国際交流の機会を拡大し、国際理解・国際協力を促進する必要がある。

(キ) 高齢化社会への対応

本県の六十五歳以上の人口は、昭和五十九年十月一日現在で、一一・五二%に達し、国平均の九・八%を上回っている。

今後も、高齢化の傾向は一層進むものと推測されている。

高齢化現象は、今後四十〜五十年間進行し、二十%台で高原状態が続くものと予測されている。

このことは、高齢化社会での課題が現在以上に成人、青年、少年の将来に大きくかかわってくることを意味している。

従って、今後は、高齢化社会への対応のし方が、とかく高齢者対象のものとされがちである現状から、それぞれの年齢層に応じて、高齢化社会への対応について学習する必要がある。

 

2) 主要教育課題

 

生涯教育の推進に当たっては、家庭教育、学校教育、社会教育、更には、一般行政や民間の教育機能を統合して、生涯学習を促進することと同時に、それぞれが本来の教育機能を個別に果たすこども必要である。

そのため、それぞれの教育機関の事業、活動を拡充し、相互に連携協力して機能を高めること、更には、現代の社会問題である青少年の健全育成、その一方策としての集団・団体活動の奨励・援助が今後の主要な教育課題である。

(ア) 青少年の健全育成

次代の担い手である青少年の健全育成を図ることは、生涯教育における重要な課題である。

今日の青少年の意識や行動の傾向をみると、物は豊かになつたが心は貧しくなったといわれる社会の風潮を反映して、・性格的に明るく、豊富な知識や情報を持っている反面、心身の弱さや連帯意識の乏しさ、正しく判断し行動することができないことなどが見受けられる。その背景として、家庭の教育機能の低下、地域の連帯感の希薄化など

 

 

 


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