教育福島0100号(1985年(S60)04月)-017page
ん養する上で必要がある。
このことは、成人にとっても重要なことで、豊かな地域づくり、仲間づくりによる生きがいのある生活の確立や健康、体力の増進、学習活動、社会参加活動等を促進する。
県内には、少年団体として「子ども会」、「ボーイスカウト」「ガールスカウト」、「スポーツ少年団」等が組織されている。
これらの団体は異年齢集団であり、社会的な規範を身につけるなど奨励すべき活動をしている。
今後は、少年団体活動を充実するため、リーダーの養成、成人指導者の養成、確保を更に推進する。
青年団体は、青年による団体活動の持つ意義が大きいことから、青年団体が行う事業に積極的な指導助言をするとともに、リーダーの養成と活動の場づくりを進めることが必要である。
成人団体は、「PTA」、「地域婦人会」、「老人クラブ」のように地域の団体として、青少年の健全育成、社会参加活動など極めて有益な活動が期待されている団体が多く、各種のスポーツ団体や職業関係団体とともに、指導者の養成等を行うなど成人団体活動の奨励援助を積極的に推進することが必要である。
(2) 生涯各時期の問題点と課題
1) 乳幼児期
最近の社会的傾向として、人口の都市集中化(農山漁村の過疎化)核家族化や家庭における子どもの数の減少、共働き家庭の増加等家庭の環境も変化している。
また、高学歴化の現象と相まつて、結婚期をむかえた男女の社会生活体験や育児に関する知識の不十分さが目だち、特に、はじめて子どもを育てる親への学習機会の提供は重要である。
さらに、乳幼児期に最もたいせつといわれている「遊び」の見直し等問題点も多い。
このような家庭、社会をとりまく問題点をふまえ、次のような課題があげられている。
(ア) これから親になる者(青年期も含め)への育児に対する学習を充実する必要がある。
(イ) 乳幼児をもつ親は、育児に関する知識を発達段階に即し、系統的に学習する必要がある。
(ウ) 県では、育児に関する学習会の企画とともに、学習会に参加できない人のために届ける資料についても配慮する。
(エ) 子どもにとって集団生活の体験は重要であり、幼稚園、保育所と家庭の連携を深め、遊び場、集団野外活動等の充実を図る必要がある。
特に地域、園を通じての集団による親子活動や異年齢層とのふれあい活動がたいせつである。
(オ) 幼児期は可塑性に富み、このころの体験は人生に大きな影響をもつことから、自然の美しさ、物をたいせつにする心、祖先を敬う心等機会あるごとに十分体験させる必要がある。
2) 少年期
最近は、高学歴化、生活の多様化を反映して学力偏重の傾向が強く、家庭においても学習塾、けいこごとへの通塾が多く、地域での活動や仲間との対話が少なくなりがちであり、さらに「遊び」の内容にも大きな変化をきたし、自然とのふれあいの機会も少なくなつている。
また、家庭の少子化の傾向は、過干渉、過保護を招きやすく、こうしたことから物事にいどむ積極性、根気、協調性、自主性に欠ける子どもが多くなってきた。
さらに社会環境の変化とともに、集団による問題行動も発生している。非行が低年齢化しつつある現象も見逃すことができない。
このような少年期の問題をふまえ、次のような課題があげられる。
(ア) たくましい体力とともに、気力、忍耐力、自主性、思いやり等「こころのたくましさ」を育てる必要がある。
(イ) ルールを守り、人に迷惑をかけない等社会生活に対応できる基本的生活習慣や行動を体得させる必要がある。
(ウ) 子どもは地域で育つものであり、学校、家庭、地域が相互に連携を図り自治会、団体等も含めた「地域ぐるみ運動」として健全育成体制を確立する必要がある。
(エ) 最近の生活環境の中には、少年たちに感動させる場面が少なくなってきた。
自然の美しさ、植物を育てる喜び、芸術、文化との出会い等の機会をつくることがたいせつであり、地域文化の伝承活動、地域行事への参加、三世代交流活動等に配慮した団体活動、少年自然の家等施設を活用した活動、地域活動に参加させることが必要である。
(オ) 特に、中学校においては、生徒が正しい勤労観や職業観を身につけるため、将来の進路設計や職業に関する適切な情報や職業についての理解を深めるための体験機会を設ける等の手だて