教育福島0100号(1985年(S60)04月)-040page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

研究実践レポート

 

要点を確かに読みとらせるにほ

 

いわき市立平第二中学校教諭

吉田 徹郎

 

−解説−

本論文は、昭和五十九年度公立幼・小・中・養護学校教職員研究論文の入選論文です。正確な論題は「表現に役立てるために段落の要点を確かに読み取らせる指導」です。診断カードによる個別指導、確かな研究技法による検証が高く評価されました。

 

一、主題設定の理由

 

作文の学習において、生徒が書くべき内容を持っているにもかかわらず何を中心に置き、それをどう表現したらよいか分からないという実態は、依然として存在する。生徒が毎年入れ替わるからである。このことから、中心になる内容を明確に押さえて書くべきことがらをはっきりさせることの必要性を改めて感じるようになった。

調査によると、本校生徒の要点を把握する力はあまり高くない。そこで、説明的文章によって要点を確かに押さ・える指導を行い、中心文を設定することができるようにさせて、その上で文章を広げさせていけば豊かな表現が生まれてくるだろうと考え、標記の主題を設定した。

ただし、仮説の設定・検証は、段落の要点を確かに把握することに絞り、その指導結果を作文学習に活用することにした。

 

二、仮説の設定による研究の概略

 

段落の要点把握に当たって、いわゆる直感力に頼って取り出すだけでなく、適切な方法で、しかも意欲的な学習をさせるために、次の仮説を設定した。

 

説明的文章の段落の要点の読み取りにおいて、要点把握の方法を学ばせ、生徒のつまずきを「診断カード」によって明示して、それに応じた個別的な治療をしてやれば、確かな要点把握ができるだろう。

 

仮説についての説明

1 要点把握の方法の学習

要点把握のための読み取りの方法を、例えば、中心語句・中心文・文の連接関係・文章構造などの基本的な読み取り方を事前または本時において範例的に学ばせる。

2 「診断カード」(資料1)

生徒が把握した段落の要点を記入させ、読みのつまずきがどこにあるかを明示して学習の仕方をわからせ、進んで取り組めるように意図したカード。

(一) 指導の力点

確かな要点把握のためには、段落相互の関係や文相互の関係をしっかりとっかむことが大切と考え、特に中心文を正確に押さえさせるために、主として次の点に力点を置いた。

1) 語句の相互関係

関連語句の把握、接続語や指示語の働き、主語・述語の適切な指摘

2) 文章の展開

文と文とのつながり(前の文と後の文との接続の型)、「縦と横の関係」に基づく文章展開の仕方

※「縦と横の関係」……前の文と後の文とのつながりを示すもの。例示・言い換え・並立・説明など、事柄や論理が発展的に進んでいない時「縦のつながり」とし、順接・逆接など、それが

 

資料1「診断カード」記入例

(実際のものは、西洋紙1枚の大きさ)

(実際のものは、西洋紙1枚の大きさ)

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。