教育福島0100号(1985年(S60)04月)-043page

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教育センター

 

講座内容についても、初級、中級、上級と発展系統を重視するとともに、教育相談の理論と実技の関連を図り、体験を通した研修とするとか事例をとおした研修をとり入れるなど、教育現場に直接役立つように配慮する。

つぎに、情報処理教育講座では、中学校教員対象のBACIC・1)講座と、高校教員対象のBACIC・2)講座を新設するとともに、高校教員対象のBACIC・1)講座を増設し、情報処理教育講座の内容充実を図った。

また、学校教育の今日的課題の一つである、生徒指導の充実徹底のため、昨年度に引き続いて、各講座ごとの専門的内容に加えて、小学校教員対象と中・高等学校教員を対象に、「生徒指導−相談的な教師−」の講義を共通的に設定した。

なお、各講座では、今年度も、教育現場や社会の要請にこたえ得るように研修内容の一層の改善・充実に努めているが、紙面の都合上、詳細については、各校配布の「昭和六十年度福島県教育センター研修事業計画」を参照していただきたい。

 

二、研究事業について

 

研究事業は、当教育センターの、研究機関としての役割と使命を達成するため、広く全国的な視野にたって教育の動向を見守り、本県にとって必要と判断される学校教育上の長期的課題や教育現場において当面する実践上の諸問題に対し、専門的・技術的に解明していこうとするものである。

今年度も、プロジェクトチームによ−る共同研究や個人研究により、年次並びに年度の研究推進計画に基づいて研究を進めている。

この研究の成果は、各研修講座内容に直接反映させるほか、当教育センターの所報・紀要・資料として刊行し、教育現場の更に充実した指導の実際に生かされるよう計画している。

当教育センターが本年度に取り組む研究課題及びその内容の概要を、これまでの経過を含めてここに紹介する。

 

(一)学校の教育目標と教育課程に関する研究

教育現場には学校の教育目標を日々の教育実践に生かしていないという反省を聞くが、本研究は、このような実状を把握したうえで、学校の教育目標が日常の子供の教育活動に結びつくためには、教育目標を教育課程にどう位置づければよいかを追求するものである。昨年度は県下小・中・高校一九〇校より五九二名の教員を抽出して、教育目標やその具現化に関する意識を中心に実態調査をし分析した。

本年度は、教育目標を教育活動に生かすための計画案を、研究協力校より収集し、モデルの計画として作成する。

 

(二)学習指導と評価に関する研究

これは、児童生徒のもつ能力を可能な限り伸長させるための学習指導法とその評価についての研究で、昭和五十八年度から三年間の継続研究である。

昨年度は、小学校の研究協力委員による社会科の授業研究をとおして、「関心・態度の評価」について、その「観察法」「自己評価法」の究明をした。

本年度は、この研究の成果や問題点をふまえ、音楽.英語での「関心・態度」の評価について実践研究を進める。

 

(三)中学校理科の学習指導に関する研究

これは、昭和五十九年度からの二年継続研究である。

中学校理科では、身近な素材を授業の中に多くとり入れ、生徒が自然の事物・現象に直接ふれながら主体的に問題を解決する学習が求められている。

昨年度は、研究協力委員による授業研究をとおして、身近な素材を教材化することの効果を追求したが、今年度は、その成果をふまえ、各分野にわたって実践的研究を行い紀要を刊行する。

 

(四)福島県標準学力診断検査問題に関する研究

これは、学習指導要領に即した標準学力診断検査問題を作成して検査を実施し、児童生徒の学力の実態をとらえ教育現場の指導計画や指導法の改善に資する研究である。

昨年度は、小学校一〜三学年社会・理科学力分析報告書刊行、中学校一学年社会・理科検査問題の作成、及び中学校一学年国語・数学・英語の予備テストを実施した。今年度は、前記の予備テストの結果を分析して問題を修正し、本テストを実施する予定である。

 

(五)児童生徒の連帯感に関する研究

これは、昨年度の「児童生徒の耐性に関する研究」に次ぐ調査研究である。

県内の児童生徒の家庭や学校などにおける集団生活の中での連帯感にかかわる意識や行動の実態を一般的傾向としてとらえ、分析と考察を加えて、今後の生徒指導の一助に資するものである。年度末には本研究の紀要を刊行する。

 

(六)事例を通した教育相談の進め方に関する研究

昨年度にひき続く第二年次研究で、「反社会的行動をもつ児童生徒への心理的な指導援助」を行うことをとおして、更に有効な教育相談のあり方を確立することがねらいである。

研究は、家庭、学校などにおける問題行動の背景を構造的に明らかにし、その問題に最も適合する心理療法を用いて、反社会的行動の改善、解決を図っていく過程を重視する。

本年度は、特に教育現場と連携して研究を進めていくことを計画している。

 

 

 


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