教育福島0100号(1985年(S60)04月)-048page

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美術館だより−−

 

「生誕一〇〇年川端龍子展」開催さる

 

五月の新緑も芳しい信夫山の麓、県立美術館では四月二〇日からオープンした春の企画展「生誕百年・川端龍子展」に美術愛好家が県内外から大勢訪れ、雄津な川端芸術の醍醐味を堪能しました。

川端龍子(一八八五年〜一九六六年)は、「会場芸術」を主唱して雄津な表現と大胆な構図を特徴とする日本画を発表しました。本展覧会は、龍子の代表作に福島県をはじめとする東北地方に取材した作品群を加えて、川端芸術の全容を回顧するものでした。

 

「ミレーとバルビゾンの画家たち」展

6月末開催予定!!

 

ルーブル美術館の「晩鐘」や「落穂拾い」で有名なミレーをはじめ、古典的な詩情を語うコロー、写実主義絵画を樹立したクールベなど、十九世紀フランスのバルビゾン派の主要作品を展覧します。

 

会期 六月二十九日(土)〜七月二十八日(日)

観覧料 一般・大学…八○○円、高校…六〇〇円、小・中…四〇〇円

 

親と子の美術教室受講者募集(小学生対象)

昨年の盛況に応え、今年は回数を増やして「親と子の美術教室」を開催します。親子で、身近な材料により表現の楽しさを経験していただこうとするものです。いづれも15組程度で、申し込み多数の場合は抽選となります。

1.一日コース(10時〜16時)

(1)6月23日「紙で遊ぶ」 (2)9月23日「木を使って」8月受付 (3)11月17日「年賀状版画」10月受付

2.半日コース

(1)8月2日=低学年「粘土でつくる」 (2)8月3日=中学年「夢野世界を描く」 (3)8月4日=高学年「仮面をつくる」

 

テオドール・ルソーrフオンテーヌブローの森の空地

テオドール・ルソーrフオンテーヌブローの森の空地

 

収蔵作品紹介7)・8)

 

鈴木 新夫(一九一五〜一九八〇)

鈴木新夫(すずき あらお)は、本県いわき市出身の洋画家。昭和八年に東京美術学校(現東京芸大)図画師範科入学、洋画の南薫造や日本画の平福百穂に師事した。昭和十二年新制作派協会展第二同展に初出品。以後同展に出品を続け、昭和三十年同展の会員となる。氏は工事現場で働く人物をよく描いているが、船体工事にたずさわる作業員を題材にした本作品は、たくましく生きる人間の姿を直裁に表わして美しい。

 

吉井 忠(一九〇八〜)

吉井 忠(よしい ただし)氏は、福島市出身の洋画家。一九二六年上京して太平洋画会研究所に学ぶ。第九回帝展に「祠」が初入選、一九三二年太平洋画会展で中村轟賞を受賞する。一九三九年には福沢一郎らの美術文化協会創立に参加するなど戦前の前衛美術運動のメンバーであった。戦後は自由美術協会かち主体美術協会の創立に参加し、現在に至っている。吉井氏は、農民や働く人々など生活する人間の姿を描きながら、社会や人間の真のあり方を追求してきた。本作品は、氏のそのような姿勢がうかがえる力強い作品である。

 

7)「働く人・A」(制作年 1969年、キャヴァス、油彩、129.9×162cm)

7)「働く人・A」(制作年 1969年、キャヴァス、油彩、129.9×162cm)

 

8)「老農夫」(制作年 1964年、キャヴァス、油彩、117.2×91.3cm)(部分)

8)「老農夫」(制作年 1964年、キャヴァス、油彩、117.2×91.3cm)(部分)

 

 

 


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