教育福島0102号(1985年(S60)07月)-019page
円滑に行われるよう配慮している。
中学校の精神薄弱特殊学級では、対人関係や集団参加を円滑に行わせるための指導や職業生活・家庭生活に必要な知識、技能、態度を身につけさせるための指導が中心になる。また、作業学習の指導を通して働くことの意義を理解させ、働く態度、喜びなどを身につけさせ、将来の職業生活へ発展させるよう努力している。
●病弱・身体虚弱特殊学級
○病院内の特殊学級
入院中の病弱児のために、近くの小学校又は中学校を本校(在籍校)として、病院内に特殊学級が設置されている。ここでは、病院の職員との連携を密にしながら、健康状態の回復、改善を図るための指導を行うとともに、各教科の指導に当たっては、内容の精選を行い、特に身体活動を伴う学習については、指導方法を工夫するなど、さま、ざまな配慮をしている。
○小学校・中学校内の特殊学級
入院を必要とせず、家庭などから通学できる病弱・身体虚弱児のために、小学校や中学校内に特殊学級が設けられている。ここでは、通常の学級とほぼ同様の授業時数を定めて、教科指導等を行い、また、通常の学級の児童生徒と活動を共にする機会を設けるよう配慮している。なお、家庭などとの連絡を密にしながら、健康状態の回復・改善や体力の向上を図るための指導も行っている。
難聴特殊学級の授業(福島第一小学校)
●言語障害特殊学級
言語障害児の教育は、児童生徒の障害の状態によってさまざまな場で行われている。例えば、精神薄弱に伴う言語障害児は精神薄弱養護学校や精神薄弱特殊学級で、聴覚障害児は聾学校や難聴特殊学級で、情緒障害に伴う言語障害児は情緒障害特殊学級で、それぞれ教育を行っている。他の障害を伴わない言語障害児は、その障害に即した特別の指導を言語障害特殊学級で受けている。
言語障害特殊学級における指導方法としては、遊戯室における自由遊びを通じて、好ましい集団を形成し、児童生徒の自発的発語を巧みに誘導しながら、互いの言語関係を豊かにする方法や、障害の状態に応じて、計画的に発声法や発音の仕方を指導する方法等がある。その他、行動療法やカウンセリングなどの心理療法、催眠法等がある。
表16 特殊学級の設置状況
●情緒障害特殊学級
情緒障害特殊学級は、自閉、かん黙習癖の異常などのため、社会的適応能力の乏しい児童生徒を対象としている。ここでは、指導が特に困難であるとされている自閉児に対する指導について述べる。
自閉児は、対人関係を中心として多方面に発達上の問題をもっているから情緒障害特殊学級の教育目標も多面的総合的になる。すなわち、各教科等の目標のほかに、日常の生活習慣を身につけさせること、感覚機能や運動機能の調和的発達を図ること、対人関係を改善し、言語による理解と言語の使用を進めること、生活意欲を高めること等が加わる。
対人関係等により、集団不適応をおこす子どもたちであるから、個別指導や小集団による指導の場を適切に設け刺激の少ない教室を用意したり、視聴覚教材を作製・活用したりするなど、自閉児の特性に即した指導方法を工夫する必要がある。
なお、児童生徒の障害の状態等に応じて、通常の学級の児童生徒と活動を共にする機会を設け、社会性の育成を図っている。