教育福島0103号(1985年(S60)08月)-014page

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づいて指導の目標を具体的にし、その目標に即して指導すべき内容を検討して、転移可能な基礎的・基本的なものに精選して学習計画を立案する必要がある。

授業中に活動の場を設定するときは、次の点に留意する必要がある。

ア 一時間の中に、中心となる活動をまず一つだけ明確におさえて、時間を十分にとる。動機づけに時間をとり過ぎ問題解決のための重要な活動が不足しないようにする。

イ 目標を明確におさえ、活動の方法を理解させた後に活動させ、「はい回る活動」にならないようにする。

ウ まとめの段階の指導が単なる整理におわらず、整理の作業を通しながら児童生徒個々人のまとめになっていくようにする。

 

(4) 主体性を支える学習環境

友人同志の会話は、極めて活発なのに、授業では、高学年になるにしたがい発言力が低下する傾向にある現状を厳しく見つめる必要がある。何が発言意欲を抑圧しているのか、その原因を教師は根気強く探し、除去する努力を続けなければならない。

教育を支えるものは、「教える者と教えられる者との信頼関係である」とは、よく言われることである。まず、教師自身次のことを反省してみることが大切である。

ア わかるようになりたい。できるようになりたいという児童生徒の心をどのように受け止め、どのように生かす工夫をしているか。

イ、授業中、児童生徒の発言・発想を生かすために、全身を耳にして聴く努力をしているか。

教師は、今まであまりにも口を使いすぎ、耳を粗末にしていたのではないか。

ウ お互いに啓発し合う望ましい学級集団を育てる指導に手ぬかりはなかったか。

望ましい学級集団は、学習意欲をひき起こしたり、増幅したりする働きがある。望ましい学級の第一の条件は、教師自身が児童生徒に信頼され、尊敬されていることである。第二の条件は、明るく共に学ぼうとする雰囲気である。

学級を単位集団として授業を展開している現状を考えたときに、この学級社会を望ましい学習集団に育てることなしには、個々は育たないと考えられる。

エ 児童生徒に働きかける環境となつているか。

人間は、環境によって変わるといわれる。例えば、次の三点から環境づくりをはじめてみたい。

○ 遊びながら学べる広場の工夫

○ 読む、調べる意欲と機会を与える図書館の整備

○ 児童生徒を啓発する掲示の工夫

 

2 「わかる」「できる」授業

 

「わかる」「できる」授業の創造には、次のことから学習指導の改善を図っていくことなどが考えられる。

 

(1) 個に応じた学習

「基礎・基本の徹底」「個に応じた指導」「心の教育」は、時代の要請する授業改善の柱である。

基礎・基本の徹底は、いつの時代でも変わることのない教育の土台である。現在教師に求められていることは、共通に教えるべきものをしっかりと教えていくことと、個を伸ばすこととのバランスのとれた授業の創造である。

「個」ということには、まだわかっていないことが多いが、「学習のスピード」(わかり方の違い)も「学習のスタイル」(自分に合った学習の仕方)なども個性であるといわれている。

個に応じた指導では、特に指導法のうえで個別化を図ることが必要であるが、基本的には、次の点に留意する必要がある。

○ 児童生徒の興味・関心による課題の設定

○ 児童生徒の生活体験の違い(教師と児童生徒との差も大きい)

○ 教師と児童生徒との相性の問題

○ リアリチーのある教材の選定

更に、児童生徒の能力にあわない学習目標を設定することは、出発点から学習がつまずくことになる。一人一人の児童生徒に到達可能な学習をさせるのには、次のような配慮が必要である。

ア 児童生徒のレデネスをおさえ、本時の学習に必要な基礎力は、授業前または、授業の初めに補充して全員が授業に参加できるようにする。

イ 小刻みな学習ステップを用意し、個々のつまずきに応じて、フィードバックができるようにする。そのための適切な資料、視聴覚教材、教具等を準備する。

ウ 小集団により、教え合い、学び合う場を設定する。

 

(2) 学習内容の定着

現在の児童生徒には、着実に基礎・基本となるものを身につけることは勿論、更には、それを用い新しい課題に立ち向かうことが要求されている。まず基礎・基本的内容を確実に定着させるためには、次のような手順を踏む必要がある。

ア 脳裏に強烈に焼きつけるような、または、児童生徒の心をゆさぶるような教材の提示や指導法を工夫する。

イ 知識の体系をしっかりとおさえ、構造化した内容として順序よく指導し理解の徹底を図る。

ウ 絶えず評価し、具体的に、どの児童生徒がどこまででき、どこでつまずいているか見出す。

エ つまづきの原因を探り、治療指導の徹底を図る。

オ 反復の機会を授業の終末に、更に、

 

 

 


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