教育福島0103号(1985年(S60)08月)-016page
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性、学校や地域の実態を的確にとらえるとともに、家庭や地域社会との連携を図りながら指導の徹底を図ることがきわめて重要である。学校だけでは、十分な指導の成果を上げることはむずかしく、家庭や地域社会の理解や協力を得ることによって一層徹底されることを心がけておく必要がある。
各教科や特別活動等の日々の指導の中で、どのように道徳的実践の指導を行うかについては、全体計画や年間指導計画に明確に位置づけて、学校の全教師のもとに指導が行われるようにする。道徳性に支えられた行為を身につけようとする道徳的実践の指導は、一般に次のア〜ウによることが多い。
ア 指示的、強制的指導
イ 模倣による指導
ウ 自発的、主体的学習を促す指導
日々の生活目標の指導などはアを中心として次第にウの要素を増していくことによって、効果を上げることが多い。道徳の時間の指導は、主としてウによるのであるが、教師の人柄や身なり等から学ぶという場合は主として、イによるものといえる。
3 道徳的実践力を培う指導
道徳の時間の指導は、児童生徒が道徳的価値を自己の自覚として主体的にどらえ、内面的に深めることにより、望ましい行為ができるようになるための内面的資質を培うことをねらいとして行われる。この内面的資質が道徳的実践力といわれるものであり、道徳的実践力は、道徳的判断力と道徳的心情、道徳的態度及び実践意欲の三様相を包括するものである。
この道徳実践力を培うためには、次のことがらに配慮して指導を進めることが大切である。
ア 道徳的教育の全体計画における道徳の時間の位置づけを明確にする。
道徳の時間は「各教科及び特別活動における道徳教育と密接な関係を保ちながら、計画的、発展的な指導を通してこれを補充、深化、統合」しようとするものである。
したがって、全体計画はその趣旨の達成を図るための基盤となるものであり、道徳の時間の指導計画を作成するうえで大きなよりどころとなるように関連づける。
イ 主題のねらいを明確にする。
主題のねらいを設定するに当たっては、その主題を指導する場合、主として、道徳的判断力を高める面に重点を置くか、道徳的心情を豊かにする面に、あるいは道徳的態度及び実践意欲の向上を図る面に重点を置くかなどを明らかにしておく。道徳性の三様相は、実際の指導では常に一体となり相互に関連し合っていてそれらを分けて考えることは困難であろうといわれるが、しかしそれぞれの主題において追求される主な道徳性の様相を明確にしておくことは、資料の選択や指導過程の構成上有効であり、ねらいの達成を図るうえで重要なことといえる。
ウ 適切な指導過程の組織化を図る。
道徳の時間の指導過程とは、道徳的価値についての主体的な自覚を深めさせるための指導の手順を示したものである。児童生徒や学級・学校、地域の実態に応じて指導のねらいが達成されるように、指導過程の各段階における発問や資料等の吟味、検討を行い指導方法についての工夫・改善に努める。
エ 道徳性についての評価を適切に行い、児童生徒の実態の把握に努める。
学習指導要領に示されているように、常に児童生徒の道徳性の実態を把握するように努めることが大切であるが、各教科における評定と同様の評定を行うことのないように注意しなければならない。道徳性の評価の観点として、三様相に分けて評価することもあるが、評価の資料は総合的に解釈することにし、短時間や短期間での変容の評価には十分留意し、常に広い視野に立つセ長い眼で見つめて行くようにする。
4 家庭及び地域社会との連携
今日、児童生徒のしつけや基本的生活習慣が十分身についているとはいえず、学校のみならず、社会の大きな問題となっている。家庭や地域社会では、それらを身につけさせようという願いはあっても、教育活動を組織することはむずかしく、学校教育に対する期待や要望が大きい現状である。
そこで、学校においては、家庭や地域社会に積極的に働きかけることによって、それぞれの機能や役割のとりなおしや向上に努めていくことが大切である。
学校の教育目標や道徳教育の目標の趣旨等を家庭や地域社会に理解してもらうことや、家庭や地域社会の学校への要望等について、児童生徒の道徳性の育成を図るうえで相互に密接な連携を図るように努めていくような配慮が必要である。
五 特別活動の充実
1 特別活動実践上の課題
(1) 特別活動のための指導体制を確立する
特別活動の特質を生かし、充実を図るためには、学校の組織体としての協力的な指導体制を確立しなければならない。
1) 指導組織の改善を図る
効果的に機能する組織に改善するには、次の点に留意する必要がある。
ア 実践に基づく改善であること
イ 全職員の評価に基づくこと
ウ 全職員の意見が反映されること
エ 役割分担を明確にすること
オ 適切な人的配置であること
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