教育福島0103号(1985年(S60)08月)-035page
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指導に当たっては、次のような過程を特に重視する指導に心がける必要がある。
ア 意欲をもって取り組む
イ 自分の思ったことの実現のための努力や工夫をする
ウ 新たな経験に挑もうとする
エ 抵抗を自分の力で乗り越えようとする
オ 自分でやる喜びを味わう
2) 教師と幼児、幼児同志の心の触れ合いを大切にする。
幼児は教師との触れ合いを求めている。教師と幼児、幼児同志の暖かい人間関係の中で起こる共感や承認が「きょうは楽しかった」「あしたもやろう」という意欲の基盤となり、抵抗があってもそれを乗り越える意欲を促す一因になっていることに留意すべきである。
3) 目的や課題をもって取り組むようにする。
主体的な取り組みは、幼児に任せるだけでは育ちにくい。それを育てるには、幼児なりに自己課題をもつようにすることである。
幼児は何かイメージをもつとそれを実現したい、自分の力でやれそうだと思うとそれをやり遂げたいという欲求をもつ。これがやがて、目的や課題を明確に意識し、意欲をもち、活発な活動を開始することにつながる。
したがって、幼児自身のイメージや意識を明確にし、幼児自身が目的や課題をもつように働きかけることが大切である。
4) 幼児自身で活動を発展させる。
幼稚園での指導は、本来、幼児自身の手で展開し、それを教師が援助していくものである。
つまずいた時には、すぐに援助するのではなく、幼児が自分の力でやっていくように援助し、やり遂げた喜びを得させる。また、明確に意識されていないものが、教師の言葉かけによって方向性が出てくるようにするなど、あくまでも、幼児自身の問題として解決させ、自分で新たな物を作り出した喜びを感じるような援助が必要である。そのためには、幼児が自由に発想のできるふん囲気をつくると共に、幼児自身に発想を広げようとさせることが大切である。
5) 幼児同志互いに刺激し合い、教え合う場を作る。
教師の助言は、幼児と教師の一対一の関係で終わることなく、他の幼児へも広がるように、個人の経験の共通化を図る必要がある。共通の経験をすることにより、その中で互いに模倣をし、伝え合い、共感し合い、認め合うことにより、友達関係が安定し、自己を発揮することができるのである。
6) 一人一人の幼児の欲求にこたえる。
幼児の活動が停滞したり、混乱したりした場合、教師はそれを活発化させ、活動する喜びを味わわせなければならない。例えば、活動に取り組めない幼児には、その原因を探り抵抗となるものを除去する。方法を知らないために困っている幼児には、方法を教える等、幼児の様々な欲求を読みとり、それを満足させるようにする。このように経験や活動への取り組ませ方、活動の進め方等を重視した指導の在り方の工夫が大切である。
3 評価を生かした指導
反省や評価結果を指導計画、指導注の改善に生かすことが評価の大きな目的である。
したがって、反省にとどまらず、指導改善に生かす評価の研究を深める必要がある。日々の評価では次の事項に対する点検が重要である。
ア 幼児が本当に楽しく意味ある活動ができるよう環境構成、教師の助言、助力、友達関係への配慮等の手だてを講じているか。
イ 指導過程における幼児のつまずきや要求にどこまで答えようとしていたか。
ウ 教師の予想や意に合わない幼児の行動に対して、その原因を追求し、指導法の改善を試みているか。
エ 指導のねらいの程度を細かくとらえ、少しでも以前より変化が見られたら見逃がさないで、認めるなどして、一歩一歩確実に身につけさせるように努力しているか。
「いじめ」対策
はやめに発見
こまめに指導を!
「いじめ」は、現在大きな社会問題となっていますが、本県においても昨年中に小中学校一校当たり平均一・九件の割で「いじめ」が発生したとの調査結果が出ています。
文部省よりも、「児童生徒の問題行動に関する検討会」の緊急提言がなされ、それにともなう対応措置が局長通知として示されました。
学校においては、この通知の趣旨・内容を十分理解し、特に次の点に留意して指導の徹底を図りたいものです。
1 「いじめ」は、子どもの心身の発達に重大な影響を及ぼす深刻な問題であると全教師が認識し、実態を直視し、早期発見、早期対応に努めること。
2 児童・生徒間の見て見ぬふりやはやし立て等、傍観者的態度を厳しく指導し、学校全体に正義感をゆき渡らせるよう努めること。
3 学校内の問題を穏さず、家庭や地域に向け学校を開き、連携協力の体制を強化すること。
4 校内の教育相談の場や方法の工夫、組織の整備に努めること。
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