教育福島0104号(1985年(S60)09月)-016page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

<特集> 2)

 

進路指導の充実

〜小・中学校〜

 

はじめに

 

進路指導は、一人一人の生徒の能力適性等の発見と開発を前提として、生徒自らが将来の設計を立て、就職や進学等の進路選択をし、その後の生活において、自己をよりよく実現できるよう、その能力や態度を育てることを目的としている。

このように進路指導は、生徒自らの人生設計及び生き方を考えさせる,べきものであるから、実際の指導においては、生徒の将来に対する夢や希望、並びに進路をめぐるさまざまな問題にこたえるための積極的な援助指導が強く望まれる。

最近、人間性豊かな生徒の育成に果たす進路指導の重要性が認識され、指導上の問題点が指摘されている。また進路指導が進学指導に重点がおかれ、本来あるべき進路指導の本質がおろそかになっているとの指摘もある。

本稿は、このような問題点や課題の解決に取り組んできた研究校の実践の一端を紹介したものである。

進路指導の計画や方法の改善に、是非参考にしていただきたいものである。

 

個々の適正に応じた進路指導

−生徒の進路意識を高める進路指導−

石川郡浅川町立浅川中学校

 

一 はじめに

 

進路指導とは、日常の身近で地道な教育活動と、深いかかわりを持つものと考えられる。

昭和五十七・八年度の二年間にわたる進路指導の研究指定を、県教育委員会より受けたのを機に、研究の方向を探るために、本校の卒業生の進路状況や、在校生の進路希望などを調査分析してみた。

本校の進学率は、昭和五十三年度以降九十パーセントを上まわり、また在校生の全員が進学を希望している。

しかし、卒業生も在校生も、真に自分の将来を見通すことなく、自分の能力・適性をはっきりわきまえずに、高校受験に臨み、進学している者もみられた。

一方、教師側についても、生徒を高校に合格させることを最優先に考え、志願者数が少ない高校を受験させ、進学希望者全員を合格させるという指導もあった。保護者もまた、子供の将来を考えての進学ではなく、高校合格のみを目標として進路の選択をすることがあり、入学後間もなく退学するというケースもみられた。

このような実情を反省して、「進路指導とは何か」ということから始まり、単に就職の援助や高校進学の準備、補習ではないという共通理解のもとに、学校の全教育活動のなかで、

(1) 生徒に自分の将来について模索し進路選択や決定をさせる。

(2) 将来の職業生活における生き方の姿勢や態度を養う。いいかえれば、「人生いかに生きるべきか」を考えて生活させることを進路指導の中核として研究実践してきた。

 

二 研究内容

 

(1) 指導計画部会

全体計画表の改善、修正、各学年の系統的な指導ができるよう研究を進める。

○進路指導全体計画の改善と整備

○進路指導個別計画の改善と整備

(2) 進路学習部会

指導過程及び、授業研究の進め方について研究を進める。

○授業細案の検討、実践

○小集団学習の定着化の手だて

○事前指導の工夫、事後指導の重視資料の活用など

(3) 進路相談部会

相談の仕方の工夫、計画の樹立、相談室の整備などに重点をおき、生徒の自己理解、及び自己実現を達成させるための実践研究を行う。

○定期進路相談の実施

○相談資料の収集と整備

○事例研究会の実施、推進

(4) 進路情報部会

資料の収集、保存、活用の仕方に視点をあて、更に、情報資料室の整備を行う。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。