教育福島0104号(1985年(S60)09月)-048page

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わかりやすい教育法令

 

教科書と採択

 

一、教科書の意義

 

一、教科書の意義

 

教科書について現行法上統一的な定義はありませんが、その性格について教科書発行臨時措置法二条一項に定めがあります。その主な要素は次のとおりです。

 

ア 小・中・高校等の児童生徒に教員が教科を教授する場合に使わなければならない図書であること−学校教育法二一条一項によって、使用義務が定められています。

イ 主たる教材であること−いわゆる補助教材の使用については、学校教育法二一条二項を受けて教育委員会の管理規則に承認又は届け出の定めがあります。

ウ 教育課程の構成に応じて組織配列されていること。

エ 文部大臣の検定を経たもの又は文部省が著作の名義を有するものであること1高校及び特殊教育諸学校等において、適切な教科書がないなど特別な場合には、この他の図書の使用が許されることもあります(学校教育法一〇七条)。無償措置法では、このいわゆる一〇七条本を含めて「教科用図書」とよんでいます。

 

今回は、教科書にかかわる諸制度のうち、採択について述べることとします。

 

二、採択について

1 権限・採択の権限は、公立学校については所管の教育委員会に、国・私立学校については校長にあります。

(地教行法二一二条六号、教科書発行臨時措置法七条一項)

2 方法一義務教育諸学校においては、無償措置法によって、適切な採択を確保するため、県教育委員会は採択の対象となる教科書について調査・研究し、採択権者(市町村教育委員会)に指導・助言することになっています。

(同法一〇条)

また、県教育委員会は、学校の校長及び教員、採択関係者の調査・研究のため毎年七月に一定期間、教科書展示を行っています。本県では、一六箇所の常設展示場(教科書センター)が設置されています。

採択権者たる市町村教育委員会は、県が作成した選定資料を参考にするほか、独自に調査・研究した上で教科書の採択を行います。

なお、高等学校の教科書の採択方法については法令上、具体的な定めはありませんが、各学校の実態に即して採択の権限を有する県教育委員会が採択を行っています。

3 共同採択一義務教育諸学校で使用される教科書の採択に当たっては、「市若しくは郡の区域又はこれらの区域を合わせた地域」を採択地区として設定し、地区内の市町村が共同して同一の教科書を採択することになっています(無償措置法一二条)。本県では九つの採択地区が設定されています。

なお、採択地区の市町村は、通常、共同採択を行う採択地区協議会を設けここに学校の教員等からなる調査員を置くなどして、共同調査・研究を行っています。

4 採択の時期一義務教育諸学校においては、使用年度の前年度の八月一五日までに採択しなければならないことになっています(無償措置法施行令一三条一。また、三年間同一の教科書を採用することとなっています(無償措置法一四条、同施行令一四条)。本年度は、小学校教科書の採択年度に当たっています。

なお、高等学校用教科書においても八月中に採択が行われています。

 

質疑応答

 

間 教科書の採択に際して、各教科書出版社は活発な宣伝活動を行いますが、その際、学校及び教職員はどのよなことに留意すべきでしょうか。

答 公正な採択が確保されるよう、また、教職員の信用失墜行為などが生じないよう、次のような点に留意する必要があります(詳しくは、文部省「採択事務取扱要領」参照)。

1 見本本は、一定の制限部数の範囲内で教育委員会や教科書展示会へ送付されますが、教師用指導書及び検定申請原稿本(いわゆる白表紙本)の献本等は一切禁止されています。

2 発行者が主催し、又は関与する講習会、研究会等の開催は一切禁止されています。

3 各発行者の作成する宣伝用パンフレット等の配布は極力自粛するよう求められています。

4 その他、金銭の提供はもちろん辞典、参考書等の一般図書、教材・教具等の提供も禁止されています。(公正取引の見地から、独占禁止法上の規制も行われています)。

 

 

 


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