教育福島0105号(1985年(S60)10月)-008page

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特集1)

 

福利厚生の充実

 

現行共済年金制度と改革の方向

 

はじめに

 

御案内のとおり教職員及びその家族の生活の安定と福祉の向上に寄与するために、短期及び長期給付の適切な給付事業を総合的に行う社会保険制度として、法にもとづく共済組合の制度が設けられているところである。

ところで、このような制度について教職員の方々には、その内容が意外に知られていないのが実情ではなかろうか。

短期及び長期給付の給付事業とは、端的には病気、負傷等の際に給付される医療費などが短期給付であり、教職員が退職又は死亡により本人又は遺族に給付される年金等が長期給付である。今、これらの事業をめぐり、社会保険制度の見直しが行われつつあり、共済組合制度発足以来の最大改革がすすめられようとしているが、本稿においては、長期給付である共済年金の現行制度と、昭和六十一年四月一日を期して改正されようとしている改革の方向について述べることにする。

近年、日本人の平均寿命は、八十歳となり、人生八十年の時代を迎えたところである。反面、少生少死により老年人口の割合が急増し、いわゆる高齢化社会を迎えようとしている。退職後の生活設計の糧となる共済年金は、今日以上に重要となってくるとともに年金制度は後代に負担を求める世代間の所得再分配の機構であるから、改革の方向もこれらを踏まえて全国民的に整合性ある年金制度を確立しようとするものである。

 

一、現行共済年金制度について

 

我々地方公務員に適用される現行の共済年金制度の根拠法令は、地方公務員等共済組合法である。同法は、新法と呼ばれ昭和三十七年十二月一日(以下「新法施行日」という)に施行されている。新法施行日前は、恩給法等の適用を受けていたわけで新法施行日を境として前後の地方公務員としての期間を有する者は、年金受給資格や年金額の計算について経過措置が定められている。

今日、退職される大多数の教職員は新法施行日前に採用された者であるから新法を基本として新法前の期間にかかる経過措置の規定を理解する必要がある。

現行共済年金制度の解説にあたっては、経過措置に関することはもとより理解しやすいようにできるだけ具体的事例を取り入れながら総論として共済年金の基本事項について、各論として各種年金のうち退職年金、減額退職年金について述べることとする。

なお、紙面の都合から詳細な記述は困難であることを了承願います。

(一) 共済年金の基本事項

ア、年金給付の計算の基礎

年金算定の基礎は、組合員期間と給料年額であるからこの二つの事項を正確に捕えることが基本である。

(ア)算定の基礎となる組合員期間

1)新法期間の計算

組合員になった月から退職の月までの期間の年月数である。例えば、昭和三十九年四月一日に就職し昭和六十年十一月三十日に退職した場合の組合員期間は二十一年八か月である。

2)施行日前の在職期間

施行日前の公務員としての在職期間は、原則として新法の組合員期間に合算される。期間の計算は、それぞれ従前の年金制度における期間計算の例によって計算することとされている。これを表にしたのが表一であるが新法前の職名によりいずれかの期間種別に該当することとなる。なお、この表は一見すると具体性に欠けるので後述の退職年金の計算例と比較しながら参照されたい。

3)休職期間の取扱い

新法期間における休職期間は、組合員期間から減算されない。その他の期間の休職期間の取扱は、次のとおりである。

○年金条例職員期間

休職、待命、停職、帰休等の期間は半減される。

○恩給公務員期間

年金条例職員期間と同じ。

 

 

 


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