教育福島0106号(1985年(S60)11月)-015page
県立文化施設の整備
昭和五十四年を「文化元年」と位置づけ、その中で「文化施設の整備充実」を重要な施策の一つとして推進させた結果、いわゆる「文化三施設」のうち、県立美術館、図書館を昭和五十九年七月に開館し、現在、昭和六十一年秋の開館を目途に、県立博物館の建設を進めているところである。
県立博物館・建築工事
昭和五十九年七月に着工した建築工事は、順調に進捗し、既に、会津地方に伝わる「蔵造り」をモチーフとした建物の全体像が確認できるまでになっている。
建築本体は昭和六十一年三月末に竣工するが、その後、展示工事、外構工事を行い、約四千点に及ぶ資料の展示を終えたのち、同年秋オープンの予定である。
・資料調査
博物館に展示される資料は、本県における原始から現代までの歴史を容易に理解できるものとし、現在、所在調査、収集資料調査、コレクション調査等を実施している。既に収集を終えた中には、恵日寺旧蔵の『十二天図』や県指定重要文化財『二十五菩薩来迎図』等、県内外に散在していたすぐれた文化財が多数含まれており、本年度末現在で、収集総点数は七千五百六十八点に及んでいる。
・学術調査、その他
博物館展示資料学術調査は、すぐれた新発見の資料の収集を目的に、昭和五十六年から既に十二調査を実施しているが、本年度も『微化石調査』(広野町、楢葉町)、『土器出現期遺跡発掘調査』(常葉町)、『山村習俗民俗資料調査』(南郷村、古殿町)、『安積開拓と安積疎水総合調査』(郡山市、猪苗代町)の四調査を実施し、数多くの資料を収集している。
現在、その成果を公表する報告書の刊行準備を急いでいる。
また、三年目を迎えた「滅びゆく伝統技術復元調査」は、本年度、『湿田農耕技術復元調査』(会津若松市)、『救荒食物調理法の復元調査』(舘岩村)の二調査を実施している。
前者は、胸までつかるような耕作を強いられた湿田での農耕技術を稲の栽培をしながら復元するものであり、後者は、古来からいく度の飢饉にどのように対処したかを食物の面からアプローチするもので、多くの貴重な資料や技法を確認することができた。
これらの調査で得られた資料は、いずれも、県立博物館で復元展示される予定である。
文化財の保護
一、文化財の指定
文化財を保存し、かつ、これを一般に公開する等、その文化的活用を図るため、文化財に指定し、その保存に努めているところである。国、県及び市町村の文化財指定件数は表8のとおりである。
二、文化財保護審議会
県文化財保護審議会(会長 山口弥一郎)は、現在十五名の委員で構成され、文化財の保存及び活用に関する重
県立博物館建築現場(一部)会津若松市
表8 国・県・市町村指定文化財種別一覧 昭和60年10月31日現在(単位:件)
〔注〕市町村指定文化財については60年5月1日現在の件数