教育福島0106号(1985年(S60)11月)-038page
のとして、その過程においては学校建築の計画、設計については、計画プロセスを重視し、学校、計画、設計、教育委員会、研究グループの各々が十分な意見交換、アイデアの提供を行うこととする。
イ、学校づくりは計画、設計、工事の各期間、さらには校舎ができあがってからも、その使い方、教育指導方法について継続的な検討が続けられるものと考える。
とした。
三、岩江小学校の計画課題
(一) 計画課題の背景−−小規模の対応
三春町の学校づくりに対する基本方針を、岩江小学校という具体的な計画に反映させる上で、特に学習の展開と関わりの深い平面構成については、基本設計に入る前に基本計画の課題として整理した。それを叩き台として研究会、学校と二度にわたる意見交換を通じて検討を加え、設計に反映させるプロセスをとった。
計画課題を作成するに当たっては、学校の要望として岩江小学校からあげられた諸項目と併せて、特に小規模校であることの、教育、施設両面における問題点を整理することから始めた。
その一つは、小規模校における学習指導上の問題点、二つは、小規模校における子どもたちの集団生について、三つは、小規模校における施設計画における問題点についてである。
(二) 計画課題
1、クラスまわりの計画−−ラーニングセンター
目標=クラスまわりの計画については学年経営体制によるチーム・ティーチング学習集団の弾力的編成、個人学習の展開がスムーズに行える学習スペースを計画する。
(1) 学年のまとまりに留意する。
(2) 学年間の交流も大切にしたい。
(3) 学年のユニットは、低学年はクラスルーム+ワークスペース+流し+アルコーブとする。
中・高学年はクラスルーム+ラーニングセンター(オープンスペース)という構成で考える。
(4) 子どもの憩いの場としてコーナーやアルコーブ凹室、また学習にも使える場としてベランダ、テラスを設ける。
(5) 学年のオープンスペースには学年関連の図書、教材を配置する。
(6) 学年のオープンスペースには、流しと作業台をもつ作業コーナーを設け、簡単な実験、実習、創作活動が行えるようにする。
(7) 床に座って学習したり集まったり出来るよう床仕上げに留意する。
(8) 教室間の間仕切りはスライデングウオールとする。
(9) 教室とオープンスペースの間はオープンでよい。
(10) 学年スペース全体の吸音性に留意する。
(11) 掲示面を十分確保する。
(12) 暖房区画を設定する。
他、オープンスペースの面積、家具、什器類の整理、掃除用具や備品ロッカー等の計画を考えるようにした。
2、特別教室の計画
目標=特別教室は、従来の一クラスでの授業を前提にした固定的な計画でなく、
ア、ティームティーチングによる二クラス同時展開
イ、個人実験、制作活動が可能な教材配置
ウ、一斉と個別の連続的な切換え等が行えるフレキシブルなスペースとして計画を工夫する。
特別教室の計画課題の具体的項目、図書・資料室、多目的ホール、管理諸室についても計画を立てた。
なおその他に、次の点について留意した。
(1) 教室を固定的、閉鎖的なものと考えずクラスルームの中だけでなく、学校全体が生活、学習の場となるような計画とする。
(2) 学校を教育施設というよりは家または図書館として考える暖みのある仕上、変化のある空間としてイメージする。
(3) スペースを多目的に使える家具
表1 学習指導の多様化とクラスルームまわりの計画