教育福島0106号(1985年(S60)11月)-045page

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3)工業数理の学習をきっかけとして、学習全般にわたって意欲と関心をもたせる。この三点に視点をおき視聴覚機器を活用した授業の展開を試みた。

1)については、応用できるようにするため、OHP・VTR等を利用して反復練習をさせ基礎基本の定着を図った。2)3)については、16%映写機やVTR等を利用した。これらの活用にあたっては、機器の特性を最大限に発揮し、学習理解の援助となるよう学習行動と視聴覚機器との関連マトリックス(表省略)を作り、学習の最適化を図った。

 

3模型・工作物を活用した指導と評価

 

工業事象をより具体的に、より理解しやすい形で授業へ導入するために、模型・工作物の活用を行った。模型には本物と同様の機能を有する相似模型と、単に外観が似ている展示用模型がある。このような模型の特色を学習指導の中に利用し、一層実際的な学習をすすめることによってより具体的学習を実践した。 (授業実践省略)

 

4資料収集を活用した指導と評価

 

工業数理の題材の提示のし方は、身近かな事例から導入し、除々に工業の事象に導き最終的に技術常識が身に付くことをめざしている。身近な事例を手軽に提示する方法に、いわゆる「資料」の活用がある。教科書にはかなりの資料が掲載されており、基本的にはこの活用が図られれば量的には十分である。しかし、生活環境に関連ある地域の資料や最新のデータが不足していることから、手作り資料の収集と作成が必要となっている。これらを活用して身近にある事象が具体的に説明され、しかも数理的・実際的に処理できることを気づかせ、さらに処理能力を養うことに大いに役立っている。

(授業実践例省略)

 

5教示実験を活用した指導と評価

 

工業数理の学習の基本パターンは、式の扱い・数値計算・作図という一連の作業を組合せて生徒自身が作業をする、即ち体験的・操作的な学習が中心となる。このことによって興味や関心を高め、自ら積極的に学習に取り組むことをめざしている。より学習効果をあげるための実験や実物の提示が必要になってくる。実験活用の効果として次のようなことがあげられる。

(1) 題材の導入としての実験

意外性や関心を引く実験により、題材に対する興味や学習意欲を起させる。

(2) 題材を展開するための実験

数理的処理をしながら、作業手順等の正しさの確認ができ学習効果を高めることができる。

(3) 結果の検証としての実験

作業の結果について検証することは、作業の手順および数理的処理が正しいかを確認でき、より自信を深め意欲や興味を向上させる。

(4) 仮説としての実験

教材を発展させ自ら結果を予想したことが実験の中で証明できれば、興味や意欲を向上させるだけでなく、先見性や創造性を養うことができる。

 

五、おわりに

 

五十八年十月に発足したプロジェクト研究は、六十年三月の第2集の刊行をもって終了した。第1・2集共に内容的には未完成であるが、各学校がこれを資料として各学校に応じたものへと改善し、多少とも工業数理教育へ活用できれば幸いです。

〔研究グループ代表 和田 勇夫〕

 

研究実践レポート

 

図4 工業数理生徒の記録摘

 

 

 

 


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