教育福島0107号(1985年(S60)12月)-006page

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提言

 

ユネスコ活動への参加を

 

ユネスコ活動への参加を

折笠與四郎

 

【筆者紹介】

 

折笠與四郎・おりかさよしろう

大正八年一月二十二日会津若松市に生まれる。昭和十一年朝鮮平壌公立中学校、同十四年第六高等学校、同十六年東京帝国大学法学部政治学科卒業、以降株式会社鹿島組入社、同二十四年退社、その間陸軍主計中尉として従軍、昭和二十四年福島県にむかえられ、厚生部婦人児童課長、同厚生消防課長、総務部地方課長、東京事務所長、農政部長を歴任、同三十八年出納長、同三十九年教育委員会教育長に就任し、アメリカ合衆国、イギリスほか欧米七か国の教育事情視察、同四十四年出納長、同四十五年副知事に就任、同四十七年アメリカ合衆国の県物産観光事情視察、同四十八年ソビエト連邦国、ドイツ連邦共和国青少年教育事情視察、同四十五年福島県信用保証協会長を歴任、同五十一年副知事を退任し常勤会長となる。同五十四年東北.北海道信用保証協会協議会長、同社団法人全国信用保証協会連合会副会長に就任。

同五十五年オーストラリア国中小企業国際シンポジウムに出席、同五十七年福島県ユネスコ連絡協議会長、同五十八年福島県人事委員会委員長に就任し現在に至る。

この間、福島県収用委員会委員、同森林審議会委員、福島市監査委員、福島県市民交通災害共済組合監査委員、

 

物ごとを善意に解釈する人が多ければ此の世は平和で和やかであるが、悪意に解釈する人が多ければ紛争が絶えない。どちらかといえば、悪意は善意を押しのけてはびこる。

このところ世界に紛争の種は尽きない。その代表格は中東であり、その他南米、南アフリカ、東南アジアと広く世界中に拡大している。この多くは、お互の利害を悪意にまで発展させることからきている。しかもそれは一部の指導者層の利害、反目、悪意のぶつかり合いであって、数多い民衆の本意ではない。

争いの無い世の中を求めることは難しい。然し争いの解決を力に依らないようにすることはできないことではない。現代の兵器、殊に核兵器の発達、多面に亘る国際化の進展を考えるとき、紛争の解決を戦に訴えることをやめようとすることは、寧ろ現実的な方法である。

ユネスコ会員綱領の第一は、かくして「心の中に平和の守りを固めよう」と定められた。

戦後の最も大きな思潮は人間の尊厳と平等の思想ではあるが、実際には人命の軽視・人権の阻害、差別がなくなっているわけではない。

戦争や飢餓、或いは交通災害、犯罪に依るおびただしい数の人命の損傷、社会の複雑化、マスコミによる人権の阻害、性別、人種に依る差別も決して無くなっているわけではない。我々は日頃から人間の尊厳と平等を重んじ、相互に尊重しあうという民主主義の原則に立って、自由と人権を尊重する習慣を守り育てることが大切である。

「すべての人間の尊厳を重んじよう」は綱領第二である。

今世紀の最も特筆すべきものは科学の発達である。現代の我々はかつて夢想さえし得なかった科学の恩恵を手にすることができた。然しこの科学の発達は先進諸国と呼ばれる世界の一部に於てである。多くの文盲を抱え、我々が享受する文明、文化の利便を共にすることのできない人々は多い。格差は

 

 

 


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