教育福島0108号(1986年(S61)01月)-029page
た。
そのたびに、私の心を支えてくれたのは、私がいなくても部長を中心に練習に励むようになってきた子どもたちの変容である。そして、やっと念願の晴れのステージをふませることができたのである。
結果は、全く幸いにして、一年目にして県大会入賞の喜びを、子どもたちとともに味わうことができ、私の教師としての尊い思い出の一ぺージをうめることができたのである。
このことで、子どもたちや父兄との距離がぐっと近くなった様な気がした。そして、何よりも嬉しかったことは、子どもたちがやればできるという自信を持ってくれたことである。
陰に陽に私を支えてくださった先生方に感謝するとともに、私は、「子どもたちの歌声とともに」ということを心の支えとして自分を励まし、これからも微力ではあるが、この子どもたちのために努力していきたい。
(東和町立北戸沢小学校教諭)
研修教育に期待する
阿部憲一
「実習第一日目でとても緊張し、また満足な仕事もできず申しわけないと思いました。職員のみなさんの手ぎわの良さに驚き、また感心しあこがれました。明日はもっとがんばりたいと思います」
これは、本校のある学生の農業協同組合実習での感想である。
また、本校独自の研修活動でも、学生は学校ではみることのできない真剣な態度で研修にうちこんでおり、学校にに戻ってからの授業および生活態度は感心するほど立派なものになってくる一
本校教育の大きな特徴のひとつに、学校での実験実習の他に県内外での農家、市場、農協、農業試験所等での長期、短期の研修の機会が多いことをあげることができる。それによって学生たちは農業への確かな手ごたえを感じてくるのである。
農業には他の職業にはない強味がある。しかし、一時的な目先だけにとらわれて、最も基本的な土地を手離してしまった農家は哀れである。職を失い、夫婦の仲が悪くなり家庭が崩壊してしまった例もあると言う。
あの土地ブームの頃、風光明媚な白河の甲子高原付近の農家は京浜地区の投資家の札束攻勢によって多くの農家が土地を手離してしまった。このことは、あの当時のマスコミを賑わせたので私も承知していましたが、その後の情報は皆無であった。このことについて、当時その真只中にあり、農家をどのように指導したらよいのか非常に苦慮された白河報徳農業協同組合の今井組合長さんの本校でのご講演で知ることができた。
そのなかで、土地を手離した農家の共通的な特徴として、しっかりした生き方すなわち使命感と判断力の欠如をあげられ、あのような農村の非常事態のときのみならず立派な農業経営を営なんでゆくためにも必要なのは教育であり、使命感と判断力をいかに農村青年に植えつけることができるかが重要な課題である。そうした意味で本校すなわち福島県農業短期大学の教育は、本県農業教育発展に大きな使命をもつものであると結ばれた。
では使命感とか、判断力と言った意志の力はどのようにすれば高めることができるのでしょうか。授業のときごとに、百回、二百回と使命感をもて、正しい判断力をもてと説いていけば身につくものなのでしょうか。ここで痛感することは、バレーボールの松平元全日本監督は、試合に臨んで、いくら選手に自信をもってやれと言葉でいくら言っても自信をもつことはない。必要なのは日頃からの成績であり、選手自からがつかんだもの(意志力)でなければならない、と言った意味のことを言われている。
研修のひととき(県農短大生)
農業経営においても、物を作るだけの技術、能力(技術者的能力、農企業者的能力)は学校での知識教育によっていくらでもレベルアップすることができると思われるが、やはり使命感、