教育福島0108号(1986年(S61)01月)-044page

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○音読学習のねらい(表2)

文章理解の指導過程のなかに発音・発声、言葉の意味理解、情感的表出の三つの指導目標を段階的に位置づけたものを言う。それは、1)「音声のねらいとして、発音・発声・呼吸の練習、声量調節であり、2)「意味理解のねらい」として、発音・発声・呼吸の練習、要語句を把握させ、内容理解の指導のなかで叙述に即した意味を把握させることであり、3)「情感表出のねらい」として、場面、人物、主題を考えるなかで、情景・心情をとらえ、「表現読み」の記号をつけて音読を工夫させることである。

○個人別診断票

一人一人の音読の能力を的確に評価し、その問題点を診断するものである。診断票の評価の観点は、先に示した「音読学習のねらい」をさらに細分化した下位目標から設定した。

○診断と治療

「個人別診断票」の診断による各児童のつまずきを克服する指導である。その治療の型は、次の四つである。

・読みぐせをなおす治療

・はっきりと発音させる治療

・言葉の意味理解のための治療

・情感表出のための治療

なお、治療は、基本的に各治療型の目的に即した「治療型別テキスト」を使用する。

○聞き手に内容がよくわかる音読

心情・情景が聞き手によく伝わるように、正しく明断な発音で、しかも抑揚や強弱に注意して音読すること。

 

三、計画 省略

 

四、概要と考察

 

(1) 検証までの準備

1) 児童の実態把握

・全般的な音読の問題点の把握

・各個人の音読の問題点の把握

2) 到達目標、到達度評価の設定

到達目標は、小学校学習指導要領国語編の音読に関する指導事項、「聞き手にも内容がよく味わえるように朗読すること」(A領域のケ)を児童の目標行動として書き表したものである。

到達度評価は、到達目標を達成するのに必要な技能(下位目標)を評価の観点としたものである。

3)児童の自己評価である「音読評価

カード」の作成児童が自己評価を行うことによって、目標の意識化と到達への意欲化につながると考えた。

4)「個人別診断票」の作成

音読能力を向上させる段階的な指導内容である発音・発声、言葉の意味理解、情感的表出の下位目標的な達成目標を評価項目とした。

5)単元の指導計画の立案

目標分析を行い、単位時間内における音読の指導内容を計画の中に組みこむようにした。

 

(2) 検証授業とその考察

(音読のねらいに基づく検証授業)

(ア) 単元名「どろんこ祭り」

(イ) 目標(省略)

(ウ)指導計画

(エ)本時の指導

○本時のねらい(省略)

○立日読のねらい

発音・発声の取り上げ指導や、グループ内での輪番制による音読によって正しい発音・発声で音読ができるようにする。

○指導過程(表3)

(オ) 実践とその考察

本時では、「音声のねらい」に基づく指導として、「身体トレーニング」、「呼吸練習」、「発音・発声練習」を導入時に取り上げて指導を行なった。

 

○身体トレーニング

身体(特に口、あご付近)の緊張緩和

○呼吸練習

腹式呼吸の練習

○発音・発声練習

声帯の振動による音声を口、鼻咽頭、胸腔に共鳴させる練習

 

これらの取りあげ指導により、児童は、正しく発音・発声するために、大きな口を開け、ゆっくり読むことが大事であることに気づいた。

次に、「読む速さは、遅くなっても良いから、一字一句まちがえないで読むように」と注意し、グループ内で輪番による音読をさせた。なお、新出漢字や難語句についての読み方は、あらかじめ板書しておき、それ以外に読めない語句については、グループ内で互いに教え合うようにさせた。さらに、下位児童に対しては、重点的に机間巡視による読み方の助言、発音や発声の矯正を行った。これらの指導を通して、どの子も読む速度は遅いながら、一字一句に注意を払って音読するようになった。

この検証授業1の実践では、教師の発言・発声の指導や児童の相互学習の展開によって、児童は一字一句正確に注意を払って音読することができた。

 

グループごとに熱心に学習する子どもたち(大石小)

グループごとに熱心に学習する子どもたち(大石小)

 

 

 


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