教育福島0108号(1986年(S61)01月)-049page

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(2) 原因

1) 生徒サイド

ア 評価によって、自分の到達度を確かめながら、着実に向上しようとする意識が低い。

イ 友だち同士、評価し合いながら向上しようとする意識が低い。

2) 教師サイド

ア 指導計画と評価計画を明確に作成しないため、単元の行動目標の分析や観点別評価の方法など、不明確な点が多い。

イ 評価は学習の援助活動であるという観点にたって、喜んで活動できる評価の工夫がなされていない。

ウ 情意面の評価の工夫が不足していた。

以上のように分析し、教師、生徒の問題点、原因を考慮し、次のような仮説を設定した。

二 仮説

生徒が学習を進める過程で、パフォーマンステスト、ワークシートによる相互評価、形成テストの継続的実施や自己診断表の活用などの評価の工夫をすれば、生徒の学習意欲が向上し、学習到達度が高まる。

三 研究計画(省略)

四 検証構想(内容省略)

(一) 毎時間の到達目標を観点別に設定し、意欲的に活動させる評価の工夫をするために

(二) 学習意欲を喚起する評価の工夫

(三) 生徒一人一人の実態の把握

生徒一人一人の実態を領域別に評価する場合、認知的領域を「知識・理解」、「科学的思考」、「観察・実験の技能」の三領域、情意面を「自然に対する関心・態度」としてとらえ、研究を進めることにする。

(四) 授業の組織

(五) 行動目標の到達度を確認する。

五 実践内容

(一) 毎時間の到達目標を観点別に設定し、意欲的に活動させる評価をするために

(1) 単元名「電流」の指導目標と基本的指導事項を明らかにした。

(2) (1)をもとに、観点別の到達目標を明らかにし、四十五の行動目標で示した。 (資料省略)

(3) 行動目標の評価の方法を考え、指導内容、時数、行動目標、評価の観点などを含めた指導計画、評価計画を作成した。 (資料2)

(二) 学習意欲を喚起する評価の工夫

(1) 学習目標に従って問題を作成した形成テストを実施した。(以下、確認テストという)。

1) 確認テストのねらい

ア、前時の学習内容の定着をはかる。

イ、テスト終了後、教科書、ノート等を調べて自己評価することにより、自分のつまずきがどこか、知ることができる。

ウ、自己評価のあとで、グループでの助け合い学習を習貫化させることができる。

エ、ねらいが達成できた喜びを味わうことにより、次時の学習意欲がおこる(以上、生徒サイド)。

オ、具体的なフィードバックの計画を細かにたてることができる。

カ、確認テスト、把持テストを実施し、ねらいである行動目標の把持率や到達度をみることができる。

キ、観点別に問題をつくり分類することにより、個人の観点別の評価の資料にできる(教師サイド)。

2) 確認テストの実践と結果の処理

ア、確認テストに問題番号をつけ、正答者には○、誤答者には×をつけ、単元のすべての確認テストの結果を記録した。 (資料省略)

イ、約一カ月後に把持テストを実施し、集計用紙に記録した。

ウ、確認テスト、把持テストの正答率を出し、行動目標の到達度を確認した。 (資料3)

エ、ウの結果をグラフ化し、定着率の低い行動目標については、総括的評価テストに出題し、定着をはかった。

(2) 観察、実験の場にワークシートをつかった生徒同士による相互評価の場を設定した。

1) 相互評価のねらい

ア、生徒同士で評価し、教えあうことにより、観察・実験の技能などが高められる。

イ、グループ全員でデータを出していくことにより、助け合いの心や思いやりを養うことができる。

ウ、生徒同士で評価の観点をチェツクすることは、教師による評価に比べて、気軽で、楽しみながらできるので、意欲的に観察、実験に参加できる。

2) 相互評価の実践と結果の処理

ア、ワークシートを使い、授業を進め、観察、実験の段階で、一人の生徒がデータをとる時、他の生徒全員に、観点別に評価させた。

 

理科の実験指導をする小野先生

理科の実験指導をする小野先生

 

 

 


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