教育福島0108号(1986年(S61)01月)-053page

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17)の到達率(男子八十一パーセント 女子九十一パーセント)

このように、相互評価をとり入れた授業での到達状況は、かなり高い値を示している。

(3) パフォーマンステストを実施したことにより

1) パフォーマンステストに対する生徒の反応と変容(資料7)

調査資料によると、このテストを支持する感想が多くあり、生徒が観察実験の技能を高めることができたことがわかる。そのため、自信がつき意欲的に活動できるようになることもわかった。パフォーマンステストを実施する時、はじめの合格者のうち何人かを検定員として、観点をチェックさせたが、このような学習活動は、自然に対する関心・態度を育てることになるのではないかと思う。

2) パフォーマンステストによる生徒の到達度の変容

生徒全体をみると、電流の大きさを測定できる生徒、電圧を測定できる生徒ともに、二回のテストを比較してみると、到達度が高まり、かなり、技能の向上に役立っていることがわかった。

男女一名ずつ抽出すると、生徒番号6と31の生徒は、はじめは、電流や電圧の測定すらできなかったが、最後のテストでは、電流、電圧の測定ができるようになったばかりか、そのデータの処理や解釈もできるようになったなど、個人の技能が高まっていることがわかった。

(4) 自己診断表による自己評価を継続的に実施したことにより

学習内容ごとに、自己評価を継続的に実施していくと、生徒一人一人の情意面の変化、認知面の到達度を知ることができ、教師にとって、指導法の反省、改善に役立った。

また、各学習内容ごとの各観点の自己評価の結果、0や十の生徒が多く、単元全体をとおして、意欲的な活動をしていたことや、学習内容の到達度が高かったことなどがわかった。

(三) 生徒一人一人の実態の把握

単元の目標を分析し、行動目標を設定し、それを評価するために、評価の方法を工夫し、生徒一人一人の到達度をチェックしてきたことは、根気のいる作業であったが、個別指導に役立ったり、観点別の評価には有効であり、生徒の変容を把握することができた。

(四) 授業の組織

(二)で述べたように、確認テスト、相互評価、自己診断表、パフォーマンステストを学習をすすめる過程に組織したことは、意欲の向上につながり、学力を向上させるのに有効であった。また、単元の目標分析、指導計画、評価計画等も生徒の到達状況を評価するのに欠かせないものであった。今後もこの一連の作業をすべての単元に実施してみたい。

(五) 到達目標に対する到達度の変容

行動目標の到達度、自己診断表等を使い、観点別学習状況の評価一覧を作成し、さらに四つの観点を認知面と情意面に分けて到達状況を評価した。到達目標基準と比較すると、生徒一人一人の変容がわかる。この結果、認知面では男子が、情意面では女子が、到達目標基準を上回っていることがわかった。(資料省略)

 

七 反省と今後の課題

 

授業の導入の段階において、教師が学習課題の提示を行った時、それに対して生徒がどのように興味、関心を示したか、また学習目標を一人一人の生徒が自らの課題として主体的、積極的にとらえたか、なども評価の対象として取り上げなければならないと思った。

次に、観点別の到達状況を評価する上で、最も考えさせられたのは、自然に対する関心、態度の情意的領域の評価である。今回は、自己診断表や観察法、レポートによるところが中心であったが、認知的領域との関連も考えた評価の方法をもっと工夫し、評価しなければならないと考えている。

 

資料7 相互評価、パフォーマンステスト実施後の生徒の反応

 

 

 

 


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