教育福島0110号(1986年(S61)04月)-032page

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台となり、生徒一人に一台の割で情報処理実習ができることである。高度情報化社会で活躍できる産業人の育成を目指す本校にとって、情報処理の基礎を実習させるために、このようなシステムが最良であると考えて、関係各機関の協力を得て、このシステムとなったわけである。

パソコンFM(富士通)は、主に商業科生徒の情報処理実習に、小型汎用コンピュータとパソコンPC(日本電気)は、主に情報処理科生徒の情報処理実習に使用している。

本校の情報処理科目の履修状況は表1のとおりである。

 

二、研究主題の設定

 

昭和五十九年二月、県教委から本校に対し、パソコンが配置されることと「情報処理教育」に関して研究指定があると通知され指定研究に関する概要が示された。この時、研究の基本方針として、1)研究内容は基礎、基本にかかわるものであること、2)新分野の内容であること、3)研究の成果は他校でも利用可能なものであること、の三点が明示された。この研究は、職業教育としての情報処理教育を推進していくばかりでなく、広く一般の高校にパソコンが導入された場合、各教科でパソコンをどのように活用していくべきかにも応えられる研究であることが要請された。

このようなことで、情報処理実習用としてパソコンを使用するための研究に加えて、パソコンを教具として生徒の学習支援(CAI)に活用することを研究課題とした。すなわち、各教科の授業の内容をよりわかりやすく、効果的に指導するため、パソコンを活用することを研究テーマとした。

1 研究主題

学習意欲を高め、基礎基本の理解を深めるための情報処理教育の推進

2 研究内容および研究方法

研究対象教科・科目

普通教科(数学) 数学1)

商業教科(商業) 簿記会計1)

総合実践

 

(1)研究内容

・数学1)

パソコンを授業に取り入れる場合、大きく分けて次の三つの利用方法がある。1)を中心に据え、これらの利用方法を研究する。

1)CAI的利用

パソコンと一対一で対話をしながら学習を進めたり、ドリルをしたりする。

2)計算機としての利用

統計、関数のグラフ等の分野で、数値計算を行うのに利用する。

3)視聴覚的利用

一斉授業で教師の説明を補足するため、CRT装置やビデオプロジェクタ装置等と接続して効果的に利用する。

・艀記会計1)

簿記の基礎、基本を理解させ、あわせて生徒の学習への興味、関心を高めさせるために、パソコンをどのように活用するかを研究する。

1)簿記会計の基礎を理解させるためパソコンをCAI(チュートリアル様式)用に利用する。

2)学習内容の理解を深め、それらを定着させるため、パソコンをCAI(ドリル、演習様式)用に利用する。

・総合実践

1)同時同業法では、授業の平板化を避け、生徒の学習への興味、関心を高め、基礎、基本を理解させるために、パソコンを授業の中でどのように活用したらよいかを研究する。

2)専門性を深めるため、データ処理の結果について経営分析や、マーケティングに関わる意思決定に、ビジネスゲームを取り入れた授業の展開を研究する。

(2)研究方法

1)生徒のパソコンに対する興味、関心の度合を調査する。

2)生徒の学力の実態を把握するとともに、どんな点でつまずきを起こしているかを分析し、つまずきを解消するためにパソコンをどのように活用するかを研究する。

3)研究対象科目の学習内容について学習項目ごとに生徒の興味、関心度を調査し、学習意欲を高めるためにパソコンをいかに活用できるかを研究する。

4)パソコンを活用する教材を作成して学習指導を実施する。

5)パソコン教材を使用した学習指導が適確であったかどうかを評価し、その改善点を明らかにする。

 

三、研究の取り組み

 

(1)数学1)

1教材の分析

本校で使用している教科書から、大項目、中項目、小項目を抜き出し、それらがパソコンの三つの利用方法(CAI的、計算機的、視聴覚機器的)の

 

表1 昭和61年度情報処理科目履修状況

表1 昭和61年度情報処理科目履修状況

※ 総合実践2年生(2単位)では、パソコンを、ワードプロセッサとして、商業通信文の作成を指導している。

 

 

 


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