教育福島0110号(1986年(S61)04月)-034page
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また、総合実践科目の基礎的内容を踏まえた次のソフトを開発した。
1)簡易なビジネスゲーム
2)商業通信文の作成システム
3)文書作成システム
4)会計処理システム
5)オートフローチャート
次の表5、表6は、簿記会計1と総合実践の学習ソフトのうち、ごく一部の画面の表示例である。
勘定振替の解説をする。
画面の大きなコップにより、強く印象づけをはかる工夫をしている。
四、研究授業の成果
開発したコースウェアで研究授業を実施した。その結果、次のような学習効果のあることが認められた。
(1) 学習への興味、関心が高まったこと。
帳票に記入する直前の「見積依頼書」の書式である。
パソコンを授業に利用することに対して、事前の調査では、約半数の生徒が「操作がうまくできるか」と不安をもっていた。研究授業後の調査では、9割の生徒が、「パソコンはやさしかった」または「難かしいとは言えないと回答した。パソコンの初心者でもパソコン操作には心配ないことがわかった。パソコンを使ったどの授業でも「今日の授業は楽しかった」、「おもしろかった」、「先生に教えてもらうのとは違った感じでよかった」という肯定的な感想を聞くことができた。
「もっとパソコンを使って授業をしてほしい」という要望まで出てきた。このように、授業にパソコンを使用することで、生徒に学習に対する興味と関心を深めさせ、学習意欲を高めることができた。
(2)学習の自主化、主体化
パソコン教材による授業では、生徒自身がキーボードのキーを押してパソコンに応答しないと、次の学習ステップへ進めない。学習を進行させるのは生徒自らの意志と行動なのである。従来の一斉授業は、教師主導型であるがパソコンを利用したCAIの授業では生徒の自主的、主体的な行動によって学習が進められていく。そのため、生徒の自ら学ぼうとする自主的、主体的学習能力が高められる。
(3) 学習の個別化
ディスプレイ画面に出題される問題の解答をキーインすると、パソコンは直ちにその正誤を判定し、学習者にその結果を返してくる。また、学習した結果を数値化あるいはグラフ化して学習者に知らせる。学習者の応答によって、個人にあったKR情報を出力することもできる。パソコンのもつ情報処理機能により、個別化された学習情報を生徒に与えることができる。
研究授業でパソコンに向かって学習した生徒は、初めてであるというもの珍らしさもあって、次第にその学習に引き込まれ、真剣な学習態度になった。
五、おわりに
パソコンを教具として利用し、授業の内容をよりわかりやすくする。生徒一人一人に適するよう学習を個別化する。「学習意欲を高め、基礎、基本の理解を深めるための情報処理教育の推進」とのテーマで、パソコンを使ったCAIの研究を行ってきた。一応の成果を得たとは言え、CAIとしては、未熟で初歩的なものであり、十分な学習効果を期待できるところまでには至っていない。これでやっとパソコン利用の出発点に立ったと感じている。
今後とも諸先生方の御助言を得て、より一層効果ある「情報処理教育」に取り組んでいきたいと念願している。
表5 簿記会計1)
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表6 総合実践
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