教育福島0110号(1986年(S61)04月)-035page
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工業高等学校の各単科内に湧ける情報処理教育をとのように計画し案施したらよいか
−県立郡山北工業高等学校−
一、はじめに
今日の社会における情報化は、コンピュータ技術の進歩、通信技術の発達によって急速な進展をみており高度情報化社会が出現しようとしている。この現状は産業分野や公共分野そして家庭生活の分野と、人間社会のあらゆる分野で大きな社会変革をひきおこしつつあることは周知のとおりである。
このことは、アルビン・トフラーが、その著書「第三の波」で予言したように「第二の産業革命」とも「第二のルネッサンス」とも言われる社会情勢を醸しだし、わが国の産業経済構造にも大きな変化をもたらしている。したがって、これからの社会に生きる者にとっては、好むと好まざるとにかかわらずコンピュータを避けて通ることはできないと言っても過言ではない。
ましてや、将来、工業の分野で技術者となることをめざす工業高等学校生は、学科のいかんにかかわらず情報処理に関する知識や技術を身につけていなければ、日に日に進歩する新しい技術について行けず、職場においても有能な技術者になることができないであろう。このことは、工業高等学校生のみならず高等学校教育を受ける生徒すべてについても言えることでもある。
このような現状認識のもとに、県教育委員会の指定を受け昭和五十九年度と六十年度の二か年にわたって行った高等学校における情報技術教育を、どのように推進したらよいかというテーマによる研究内容の概要を紹介する。
二、これからの高等学校における情報技術教育のあり方
1 情報処理に関する多様なニーズにこたえられる人間として求められるもの
1)簡単なプログラムについては、説明を受ければできる程度の理解が必要である。
2)エレクトロニクス関係の基本的な理解は誰でも必要である。
3)2)の理解ができたうえで専門知識と技術力を持っていることが必要である。
4)物事の本質を追求する姿勢と意欲、そして変化に対応できる柔軟生が必要である。
要は機械に振りまわされない人間でなければならないということになるだろう。
そのような人間を育成するには、つぎの1)〜3)の三つの柱が重要と考えられる。
(1) 基礎学カの向上と応用性、実践性を養う教育
1)エレクトロニクス技術の修得に抵抗なく入って行ける基礎学力の充実。
2)原理、原則がどのように応用されるのかが展望できるような形での教育の展開。
3)記憶に頼るのではなく、実践の裏付けのある教育内容。
4)読み、書き、ソロバン(パソコン)、基礎学力の向上。
(2) 専門教育は、実習を重視し、システム思考の徹底を図る教育
1)コンピュータやマイコンも数学物理の発想・展開の一つとして教育する。
2)基礎的事項の理解と論理的な考え方を徹底させる教育。
3)発想→設計→製図→製作→検査というように一貫して教育することにより、工業技術のセンスを身につけさせる。
4)システム工学教育を一層推進する。
5)導入は、理論以前に、まず機器に触れさせることから始める。
6)学科の枠をこえたフレキシブルな教育(深く広い専門知識は即戦力となるためには有効)。
(3) 応用思考を身につけさせる教育
1)生徒自らが計画し、目的に合った手順、手段を選択し、その過程で生じる種々の事態を的確に把握し、その原因の究明や対応ができるという経験を重視する。
2)自り必要な資料を収集し、読解し、調べ、研究することで新しいことを学びとり、問題解決に立ち向かう姿勢を養う。
3)柔軟な思考の出来る高校生の時期にはエレクトロニクスに興味を抱くのでこの機会をとらえて機器に触れ、いろいろな体験をさせる。
2 情報技術の指導計画作成の基本的な考え方
(1) 情報技術教育の展開のしかたどのような学科においても、これだけは必要と考えられる「基礎教育」と、それぞれの専門分野(学科)に関する「情報関連教育」の二つにわけて考える必要がある。
1)基礎教育
ア、基礎技術について先輩や専門家の説明を聞いたり、資料として渡されたマニュアルを読んだり、文献や専門書で調べたりする場合、その内容が容易に理解できる程度の基本的な知識を身につけておくこと(専門用語の意味など)。
イ、簡単なプログラムは説明を聞
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