教育福島0111号(1986年(S61)06月)-006page

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提 言

 

「テクノターザン」を育てる

(前)臨時教育審議会調査員

加藤裕之

 

【筆者から】

 

【筆者から】

加藤 裕之・かとうひろゆき

若輩の一公務員にとって、この欄に拙文を載せて頂けるのは、望外の喜びである反面、いささか荷の重いことも事実である。私は通産省から臨教審の事務局に出向し、情報化委員会のお手伝いをさせて頂いているので、情報化に関する臨教審の委員の方々の気持ちの一端を御紹介することで、お許し頂きたいと思う。

 

「情報化」とはエイリアンではない。今や小学校の教室を見回しても、最近ではテレビありビデオありテープレコーダありで、先生方は黒板とチョークだけで授業を行っているわけではない。その意味では現在の小学校は既に十分に「情報化」している訳で、最近話題になっているパソコンや一NSなどもこの延長上のものである。今改めて「情報化」と呼んだからとて、得体の知れないロボットが教壇に登場するわけではないのである。

ただ、これまでのテレビやラジオは特定の人が収集、生産した情報を画一的、一方的に送り出し、我々はそれを受け取るだけだったのに対し、新しく発達してきた情報手段は、我々の一人一人が情報の生産者、送り手になることを可能にする。いわばマスメディアに対して本格的なパーソナルメディアとして位置付けることができるわけで、この転換は教育に様々な影響を与えることが予想される。

第二に、「情報化」に対応した教育の目標は、石井威望委員(臨教審情報化委員会委員長)の言によれば、 「テクノターザン」を育てていくことである。科学技術に対する適応力と深い造詣とを持ちながら、ターザンのような健全な肉体と自分なりの旺盛な問題解決能力とを備えた人間という意味である。

コンピュータをいくら上手に駆使してもそれ自体からは新しい理論は生まれない。人間の進歩は、自分の目で世の中を見つめ、自分なりに世界を理解し、自分の手で試行錯誤を繰り返すことか

 

 

 


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