教育福島0112号(1986年(S61)07月)-049page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0112号(1986年(S61)07月)-049page


ふるさと探訪

県指定重要文化財(絵画)

太田貞喜の亜欧堂田善コレクション(八十二)

所在地 須賀川市池上町六番地 須賀川市5博物館

所有者 須賀川市

通称太田コレクションは、太田貞喜によって蒐集された芸術作品や書籍からなりたつ。それらは、銅版画・素描・幕末の泥絵・木版地図・明治大正期の美術書籍などであるが、中心をなすのは亜欧堂田菩の芸術作品群である。

亜欧立田善は、寛延元年(一七四八)奥州岩瀬郡須賀川に生まれ、文政五年(一八二二)同地で没した近世の代表的洋画家である。本名を永田善吉といい、絵師の兄・昆山から絵画指導をうけ、また伊勢古市の画僧月◆からも教えを受けた。しかし田善が大きく飛翔するのは、なんといっても松平定信に見出され、定信周辺の蘭学者と接触してからである。それは、山善の江戸滞留時代、つまり寛政十年(一七九八)の頃から、文化十一年(一八一四)頃までである。江戸滞留中の田善は、絵画ばかりか藩主定信の命に従って銅版画、とりわけエッチング技術の習得に力を入れた。

太田真書コレクションも、その大部分が江戸で制作された芸術作品で、田善と蘭学者との接近や田善のオランダ美術への関心度をよく示ている。田善は、オランダをばじめとする西洋の銅版画を模刻したばかりか、やがて習得した銅版技術を江戸の風俗画、世界地図、人体解剖図にも応用し発展させたところが注目される。太田貞喜コレクションの全作品八十二点は須賀川市立博物館に展示されている。

銅版画  「医範提網内象図」

銅版画 「医範提網内象図」

銅版画  「三囲眺望図」ふるさと文化財

銅版画 「三囲眺望図」ふるさと文化財

銅版画  「医範提網内象図」

銅版画 「医範提網内象図」


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。