教育福島0113号(1986年(S61)08月)-008page

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特集

 

豊かな人間性をはぐくむ学校教育

 

はじめに

 

臨時教育審議会第二次答申では、「二十一世紀に向けての教育の基本的な在り方」と題して、学校教育の荒廃を大きくとりあげ、「学校と教師ならびに教育界は、厳しい現実とその背景にある深刻な教育荒廃の事実を直視し、子どもたちの未来のために、相携えて学校改革、教育改革に立ち上がらなければならない」と提言している。

また、未来の社会を展望し、二十一世紀のための教育目標として、

一、ひろい心、すこやかな体、ゆたかな創造力

二、自由・自律と公共の精神

三、世界の中の日本人

を掲げている。

更に、教育の活性化とその信頼を高めるための改革は、生涯学習体系への移行にあるとして、数々の提言をしている。

文部省においては、これら改革提言を受け、昭和六十一年六月、 『臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」について』を各都道府県教育委員会に通知し、「いじめ問題の対応」「教員の資質向上」「学校の管理運営の改善」等、速やかに一層の改善を図るように求めている。

本県においては、「未来をひらく、心豊かなたくましい人間」の育成をめざし、本誌の二、三月号に「学校教育指導の重点」を示して、各小中学校に御努力を願い、着々とその成果をあげてきている。

しかし、「豊かな人間性をはぐくむ学校教育の推進」のため、現行学習指導要領と臨時教育審議会の答申の趣旨を踏まえ、謙虚に学校教育の在り方を評価・分析し、積極的に改善の道を拓く努力を更に進めなければならない。

そのためには、以下に示す内容について、再度点検して学校教育の改善を進める必要がある。

 

1、人間性豊かな児童生徒の育成

 

人間性豊かな児童生徒の姿を明確にとらえ、各教科の目標設定や指導内容の構成、あるいは学校教育活動すべてにおいて、それを育てる努力をする必要がある。そのためには、人間性豊かな児童生徒の育成のために一層強調しなければならないこととして、昭和五十一年の教育課程審議会答申の次の項目を重視する必要がある。

 

・ 自ら考える力を養い創造的な知性と技能を育てること。

・ 強靭な意志力を養い自律的な精神を育てること。

・ 自然愛や人間愛を大切にする豊かな情操を養うこと。

・ 正しい勤労感を培うこと。

・ 健康てたくましい身体の鍛錬に努めること。

・ 家族、郷土、相国を愛するとともに国際社会の中で信頼と尊敬を得る日本人を育成すること。

 

などである。

また、「生涯学習体系への移行」の観点から、自らが主体的に学ぶ意志、態度、能力等の自己教育力の育成が重要視されている。

自己教育力は、生涯にわたって自己を教育し続ける意志を形成することであり、そのためには、次のような場と機会を設定する必要がある。

○ 学習への動機を与え、学ぶことの楽しさや達成の喜びを体得させる。

・ 実物ないし本物教育あるいは、体験的学習など学習の手段や方法の工夫

・ 児童生徒の能力・適性あるいは興味・関心への配慮

○ 学習の仕方を習得させる

・ 学習の手順・手だてを明確にし学び方を学ばせる指導の工夫

・ 問題解決的あるいは問題探究的学習方法を重視した指導の工夫

○ 自己探究や人間としての「生き方」を学ばせる。

などである。このことを実現するために、本年度は特に、「生徒指導の充実」、「道徳教育・特別活動の充実」「学習指導の改善・充実」に力点を置いて努力して欲しいものである。

 

 

 


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