教育福島0113号(1986年(S61)08月)-051page
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世界の教育は、今。
海外教育事情の紹介
底ぬけに明るい生徒たち
−スペイン−
スペインの北部、大西洋に面した風光明姉な町サンタンデールを中心に国立・私立併せて六校を視察した。私たちが校門を入ると窓から身を乗り出して歓声を上げる生徒、玄関まで飛び出してくる大勢の生徒たち、いずれの学校の生徒たちも非常に明るく屈託がなく人なつこい。不良ぽい生徒も見当たらない。教室では落ち着いて勉強している。私たちの質問に対しても積極的に答えてくれたし、逆に質問攻めにあった。日本に対する関心か高いことを知った。お国柄にもよると思うがこの生徒たちの明るさ、素直さは何によるのだろうか。生徒指導に悩んでいる日本の教師にとっては特に印象に残った。
義務教育(八年間)を終了した生徒のほとんどは十四歳で日本の高校に当たる中等教育の普通課程か、または、職業課程へ入学する。普通課程は主として大学進学を希望する生徒の教育機関で修業年限は三年である。更に、一年間の大学予科コースがある。普通課程から大学予科へ進む生徒の数は八十パーセント前後である。一方、職業課程は就職に役立つ技術訓練を主とする教育機関で修業年限は二年間の初級学校とその上に一〜三年の専門課程をもつ中級・上級の学校とがある。普・職の生徒数の割合は七十五対二十五で、年々普通課程への希望者が多くなっているとのことである。
入学試験なし、落第は多い
高校への入学は通学距離、家庭の所得、義務教育段階の学習成績等を総合的に考慮して選抜され特に人学試験はない。生徒の学校選択も通学距離が最も重視されるので学校相互間の質的差はないということである。
学習に対する評価は厳しく、学力・態度」質問に対して答えたか.台かなど平常点も加味して六段階に評価する。下位二段階は単位不認定である。教科担任は年五回集まって評価し学年末に落第が決定する。
不認定科目が三つあると落第となる。この落第が多いことが教師及び父母にとって最大の悩みであり、この国の教育課題にもなっている。ちなみに、この地域の落第者数は一年が三十バーセント、二年が十五パーセント、三年では少し低くなるということであった。
昭和六十年度文部省海外派遣
長期第二十三団
県立安積女子高等学校教頭
菅野栄子
視察団に別れを惜しみ見送る生徒たち 国立ベジャンコ中等学校
日本語を説明する団員 私立ラサール総合学校
授業中の生徒たち、私立ノエストラ・セニョーラデ・パス総合学校
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