教育福島0114号(1986年(S61)09月)-016page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

〈特集〉(2)

未来を拓く進路指導の充実

〜小・中学校〜

 

はじめに

 

中学校における進路指導については、現在さまざまな問題が指摘され、進路指導の見直しと指導の強化がさけばれている。

高学歴志向の風潮が依然として存在していることに加え、近年の著しい技術革新に伴う産業構造、就業構造の変化により、進路指導はさらに難しいものとなってきている。

このような中で、中学生の心は、自分に適した進路先を模索しながら、将来への不安で揺れ動いていると思われる。現実的には、生徒一人一人の将来への夢を全員に実現させてやることは極めて困難にさえなつてきている。

しかし、本来進路指導は、生徒一人一人の能力や適性を的確に把握し、将来の進路を計画し選択する能力を育てることを最も重要な役割としている。

すなわち、変動する社会の中で自己を正しく生かすことができるよう、しっかりした人生観・職業観を進路との結びつきのうえで自覚させる指導であり、将来の生活における「生き方」の援助・指導である。

したがって、進路指導を進めるに当たっては、三年間を見通した指導を中核として、学校教育全体を通じて計画的、継続的に援助指導を進めることが大切である。

そのためには、各学年における進路指導の発展・系統性を明らかにし、各学年の指導の充実に努めることが必要である。

例えば、第一学年では進路についての関心を深めることに重点を置き、自己理解と進んで進路を計画しようとする態度を養う。

第二学年では、・進路を明確にしていくことに重点を置き、自己理解を深め、職業や上級学校などに関する進路情報を理解させ、一層明確な進路希望や計画をもたせる。

第三学年では、自己にふさわしい職業や学校を選択し、具体的に進路を決定することになるがへ就職希望者と進学希望者との相互理解を図ることも重要である。

県教育委員会では、各中学校で努力して欲しい点として次の三項目を掲げ、進路指導の推進を図っている。

 

一、共通理解を深め、指導体制を確立する。

二、指導計画を改善し、計画的、継続的に指導を進める。

三、家庭や関係諸機関との連携を強化する。

 

また、昭和六十一年七月十一日付の「適正な進路指導の推進について」(通知)や、「教育福島」八月号の「進路指導の充実」(重点)を通して、各学校に対し深い理解と一層の努力を期待しているところである。

以下、各学校における進路指導の改善・充実のための大きな指針となるよう、進路指導の問題点や課題の解決に全校挙げて真剣に取り組んできた研究校の実践例を紹介する。

川俣町立川俣中学校並びに双葉町立双葉中学校の二校は、昭和五十九年・六十年度の二か年にわたり、県教育委員会の指定を受け、進路指導の研究を進め、大きな成果をあげた。

川俣中学校は、進路指導に関する指導体制の確立、指導計画の改善と指導の充実、家庭及び関係機関との連携強化を課題として研究に取り組んだ。従来からの進路指導を見直し、学校教育目標具現の立場から研究主題を設定して、学校教育全体の中で進路指導のあるべき姿を追求したところに特徴がみられる。

双葉中学校は、生徒一人一人が自己理解を深め、自己の適性を見いだし、自分の能力を伸ばすよう、学校教育目標の具現の立場から研究主題を設定した。特に、学校教育全体の中で行う進路指導のあり方を追求したところに特徴がある。

この二校の研究成果は、本県中学校の進路指導の充実及び適切な進路指導のあり方に大きな示唆を与えている。

各学校においては、二校の研究成果を十分参考にして、自校の進路指導の改善・充実に一層の努力を傾注されるよう期待する。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。