教育福島0114号(1986年(S61)09月)-000page
教育福島
’86 9月号
Vol.114
目次
−表紙絵〜ベン・シャーン「海辺の朝」−
生涯教育インフォメーション [PDF]青少年ボランティア参加促進事業
名画散歩
表紙絵「海辺の朝」
ベン・シャーン作
版画集《リルケ「マルチの手記」より
(紙・リトグラフ五七・三×四五・三p一九六八年蹴作 福島県立美術館蔵)
アメリカの画家ベン・シヤーン(一八九八〜一九六九)が、ドイツの詩人リルケの「マルチの手記」に感銘を受けて制作した版画集で、確かな造形と繊細な色彩が融け合った、彼の代表作です。
今月号ではベン・シヤーンのグラフィックアートの領域での活動をご紹介します。
グラフィック・アートとは、文字や線描を主にした美術や、ポスター、版画など印刷術を使った芸術の総称で、今世紀になって飛躍的な発展を遂げました。
ベン・シヤーンは少年時代に石版画工房で働いたこともあって、版画やポスターに関心を抱き、「マルチの手記」を始めとする版画や、「我々は平和を望んでいる」などのポスターを数多く制作しました。ポスターは人目を引き、メッセージを明確に伝えるという目的をもつものですが、彼はポスターの役割を十分に踏まえた上で、造形的にもすぐれた作品に仕上げました。
また彼は文字の造形化にも強い興味を持ち、「創造のアルファベット」のように文字そのもののかたちの面白さを追求した作品も描いています。ベン・シャーンはグラフィック・デザイナーの先駆者でもあったのです。
「創造のアルファベット」ベン・シヤーン作 ボード・グアッシュ 1963年制作 40.0×122.5p
福島県立美術館蔵